【特 集:国際物質循環:資源性と有害性】

アジアにおける持続可能な資源循環へ向けた段階別アプローチ
――3Rイニシアティブの国際展開の経験に基づいて――
堀 田 康 彦*

【要 旨】 2005年の3Rイニシアティブの発足以来,日本政府はアジア各国での廃棄物管理・3R政策の形成に向けて,さまざまな支援や政策対話を実施してきた。アジア各国でも,廃棄物管理および資源循環に関連した法制度・政策の形成が進展してきている。その一方で,そうした政策の実施や制度の運用(すなわちガバナンス)でさまざまな課題が存在している。アジア各国での3R・資源循環政策の充実,ガバナンスの改善に必要な優先課題を議論し,それに取り組む上で,静脈経済の発展段階に沿ったアプローチの必要性を仮説的に論じた。その上で,アジアでの国際的な政策連携を視野に入れた上で,拡大生産者責任政策を例として,アジアにおける持続可能な資源循環へ向けた段階別アプローチのあり方について検討・提案を試みた。

キーワード:国際資源循環,ガバナンス,拡大生産者責任,電子電気機器廃棄物,3Rイニシアティブ
廃棄物資源循環学会誌,Vol.22, No.2, pp.148-158, 2011
査読付展望論文
原稿受付2011. 1. 19 原稿受理2011. 3. 8
*(財)地球環境戦略研究機関持続可能な消費と生産グループ
連絡先:〒240-0115 神奈川県三浦郡葉山町上山口2108-11