【特 集:国際物質循環:資源性と有害性】

不適正なE-waste処理に伴うポリ臭素化ジフェニルエーテル汚染の現状と課題
梶 原 夏 子*・滝 上 英 孝*

【要 旨】 臭素系難燃剤の一種であるポリ臭素化ジフェニルエーテル(PBDEs)は電気・電子機器の筐体や室内装飾材など幅広い製品に使用されてきたが,その蓄積性や潜在的な毒性の高さから国際的に規制が強化されている有害物質である。近年,使用済みテレビやパソコン等の電気・電子機器廃棄物(E-waste)の先進国から途上国への輸出と,途上国におけるE-wasteの不適正なリサイクル・廃棄処理に伴うPBDEsおよびその関連物質による環境汚染の拡大が懸念されている。本稿では,不適正なE-waste処理に伴うPBDEs汚染の現状,とくにPBDEs汚染が顕在化しているアジア途上国での実態と今後解決すべき課題について,最近の知見や情報を踏まえながらまとめた。

キーワード:電気・電子機器廃棄物 (E-waste),PBDEs,臭素化ダイオキシン類,野焼き,リサイクル
廃棄物資源循環学会誌,Vol.22, No.2, pp.159-168, 2011
査読付展望論文
原稿受付2011. 1. 20 原稿受理2011. 3. 30
*(独)国立環境研究所循環型社会・廃棄物研究センター
連絡先:〒305-8506 つくば市小野川16-2
(独)国立環境研究所循環型社会・廃棄物研究センター  梶原 夏子