【論  文】

食品系バイオマスを対象とした炭化リサイクルシステムの開発
――食品系バイオマスの特性――
大 西   龍*・神 山 ま や**・野々垣 賢 一**・福 田 裕 司***・中 原 弘 一****・東 野 孝 明****・池 田 英 男*, *****

【要 旨】 主に食品関連事業者より発生する食品系バイオマスは,地域に広く薄く散在していることや,性状が不均一であるなどの理由によって利用が進んでいない。筆者等は,炭化による新しいリサイクルシステムを開発するため,まず食品系バイオマスの特性を調査した。食品系バイオマスは,食品関連事業者の業種および発生する季節にかかわらず,3 つの主要な構成要素(穀類,植物性残渣,動物性残渣)を85〜95%の割合で含んでいた。これらの構成要素はいずれも,水分を多量に含み,乾重量あたりの可燃分が90%以上を示し,50%前後の炭素を含んでいた。各構成要素を500℃で炭化した結果,炭の収率は25〜30%であり,固定炭素率は60〜80%であった。炭化によって,各構成要素が含む炭素のうち30〜55%を炭に固定することが可能であり,炭化が地表の二酸化炭素の削減に有効な手段となることが示唆された。

キーワード:炭化,食品廃棄物,成分調査,リサイクルシステム,炭素固定
廃棄物資源循環学会論文誌,Vol. 22, No. 3, pp. 201-209, 2011
原稿受付2009. 11. 13 原稿受理2011. 4. 4
* 大阪府立大学大学院生命環境科学研究科
** サラヤ(株)
*** (株)関西再資源ネットワーク
**** 大幸薬品(株)
***** 千葉大学環境健康フィールド科学センター
連絡先:〒599-8231 大阪府堺市中区学園町1番1号
大阪府立大学大学院生命環境科学研究科  大西 龍