【研究ノート】
食品廃棄物の熱分解特性
和 田 芳 彦*・野呂瀬 幸 政*・岩 渕 和 則**・谷 黒 克 守*
【要 旨】 食品廃棄物は飼肥料としての利用に加えて,バイオマスエネルギー原料としても利用可能な有機物が豊富であるが,廃棄物系バイオマスの中で最も利活用されていない。そこで食品廃棄物から燃料または肥料として利用可能な炭の作成に関して検討を行うため,ここでは,食品廃棄物の熱分解特性を熱重量(TG)の計測と示差熱分析(DTA)を同時に行うことができる熱分析機器を用いて調べた。また熱分解によって発生するガスを同定するためTG-DTA/MSとTG-DSC/FTIRを用いて測定した。その結果,酸化熱分解は3段階の重量減少と2つの顕著な発熱ピークを発生させた。一方無酸素下での熱分解は2段階の重量減少を示したが顕著な発熱ピークは発生しなかった。主な発生ガスはH2O, COおよびCO2であり,ガス成分の発生ピークの特徴は擬似Air下と無酸素下で異なった。
キーワード:食品廃棄物,熱分析,発生ガス
廃棄物資源循環学会論文誌,Vol. 22, No. 3, pp. 225-230, 2011
原稿受付2010. 5.6 原稿受理2011. 2. 21
* (株)谷黒組
** 宇都宮大学農学部
連絡先:〒321-8505 栃木県宇都宮市峰町350
宇都宮大学農学部農業環境工学科 岩渕 和則