【論  文】

家庭系有害廃棄物に関する住民・自治体・処理業者の対応状況
松藤 敏彦*・佐藤 法世**・中村  優*

【要旨】家庭において使用されている有害性をもつ塗料,殺虫剤などは,家庭系有害廃棄物と呼ばれている。本研究は,住民,自治体,処理業者に対してアンケート調査を実施し,家庭系有害廃棄物の購入・保管,収集区分,処理処分の状況を把握することを目的とした。対象品目は,米国EPAの分類を参考に14品目群とした。
 自治体については分別区分が一定しておらず,有害性の認識のばらつきを表している。特に電池や蛍光管,塗料,接着剤などは通常のごみと一緒に収集される例が見られる。家庭では,自治体が定める収集区分が十分に周知されておらず,一部がごみとして排出されている。排出禁止物としている場合,問い合わせ先の明記がなされていない自治体が多く,記載があったとしても実際には受け入れ不可の業者も多く,自治体と処理業者の連携が不足している。

キーワード:家庭系有害廃棄物,アンケート,収集,処理処分
廃棄物資源循環学会論文誌,Vol.22, No.4, pp.231-242, 2011
原稿受付2011. 1. 13 原稿受理2011. 4. 20
* 北海道大学大学院工学研究院環境創生工学部門
** 北海道ガス(株)
(元 北海道大学大学院工学研究院環境創生工学部門)
連絡先:〒060-8628 札幌市北区北13条西8丁目
北海道大学大学院工学研究院環境創生工学部門
廃棄物処分工学研究室  松藤 敏彦