【論 文】
環境負荷イオンの除去率を高めるカキ殻熱処理条件の最適化
西岡 洋 *・内田 琢也**・村松 康司*・矢澤 哲夫*・尼子 龍也***
【要旨】カキ殻が持つ特長を活かしながら,低コストで環境負荷イオンを効率よく除去するための処理法確立を目的として,カキ殻の熱処理条件について検討した。
適切な窒素ガス流量で焼成すれば1気圧での炭酸カルシウムの分解温度である900℃よりもはるかに低い600℃でカキ殻表面の改質ができ,リン酸イオンや硫酸イオンおよびカドミウムイオンを効率よく除去できることを明らかにした。オゾンや空気雰囲気では600℃で熱処理した場合にリン酸イオン除去率の低下が見られた。熱処理カキ殻によるイオン除去性は高い順にカドミウムイオン,リン酸イオン,硫酸イオンであった。
キーワード:カキ殻,熱処理,除去,環境負荷イオン
廃棄物資源循環学会論文誌,Vol.22, No.4, pp.276-283, 2011
原稿受付2010. 6. 14 原稿受理2011. 6. 16
* 兵庫県立大学大学院工学研究科
** 兵庫県立大学工学部
*** (有)尼子工業
連絡先:〒671-2201 兵庫県姫路市書写2167
兵庫県立大学大学院工学研究科 ナノドメイン・環境材料科学研究グループ 西岡 洋