【論 文】
熱重量解析による迅速簡便なリグノセルロースの成分分析
藤 井 隆 夫*・望 月 和 博*・小 林 伸 一*・迫 田 章 義*
【要 旨】バイオマス研究に重要となるリグノセルロースの成分分析には,従来より広くデタージェント法が用いられている。しかしながら,デタージェント法は操作が煩雑であり,廃液も多量に排出されるという問題点がある。そこで本研究では,より迅速簡便なリグノセルロースの成分分析法として,熱重量解析による定量分析法を提案し検討した。この方法は,ヘミセルロース,セルロース,リグニンそれぞれの熱分解挙動の違いに着目し,灰分も含めた各成分を等速度昇温分析により求める方法である。種々の実験的検討の結果,提案した方法は,迅速簡便で誤差10% 程度の確度を持ち,かつ廃液も出ない成分分析法としての実用性が示された。
キーワード:熱重量解析,リグノセルロース,成分分析
廃棄物資源循環学会論文誌,Vol. 22, No. 5, pp. 293-297, 2011
原稿受付2010. 8. 20 原稿受理2011. 6. 30
* 東京大学生産技術研究所
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東京大学生産技術研究所4部迫田研究室 藤井 隆夫