【論  文】

再生瓦製造システムの導入による環境負荷低減効果の評価
山 口 耕 太*・蒲 原 弘 継**・後 藤 尚 弘**・稲 吉 辰 夫***・荒 川 正 幹****・船 津 公 人*****・藤 江 幸 一******

【要 旨】本研究ではセラミック製品の一つである粘土瓦に着目し,再生瓦製造システムの導入による環境負荷低減効果をライフサイクルアセスメントの手法を用いて評価した。ケーススタディとして,愛知県名古屋市から発生する廃粘土瓦を利用して再生瓦を製造した場合を想定した。環境負荷の項目は,エネルギー消費量,CO2 排出量,NOx 排出量,SOx 排出量,廃棄物発生量とした。インベントリ分析の結果,廃粘土瓦リサイクルシステムの導入によってエネルギー消費量とCO2 排出量,SOx 排出量が増加するが,NOx 排出量,廃棄物発生量は減少することが示された。LIME による環境影響評価では,廃粘土瓦リサイクルシステムの導入により環境負荷が低減されることが示された。一方,エコインディケーター95 やEPS による評価では,環境負荷が増加することが示された。また,同システムを名古屋市に導入した場合,名古屋市のCO2 排出量が0.03% 増加する一方,同システムを名古屋市で導入するだけでも,愛知県の産業廃棄物最終処分量の削減目標を約21% 達成できることが示された。

キーワード:廃粘土瓦,リサイクル,ライフサイクルアセスメント,環境影響評価
廃棄物資源循環学会論文誌,Vol. 22, No. 5, pp. 306-313, 2011
原稿受付2009. 4.2 原稿受理2011. 7. 13
* トヨタテクニカルディベロップメント(株)
(元豊橋技術科学大学エコロジー工学系)
** 豊橋技術科学大学環境・生命工学系
*** 高浜工業(株) 技術統括部
**** 宇部工業高等専門学校経営情報学科
(元東京大学大学院工学系研究科化学システム工学専攻)
***** 東京大学大学院工学系研究科化学システム工学専攻
****** 横浜国立大学大学院環境情報研究院
連絡先:〒441-8580 愛知県豊橋市天伯町雲雀ヶ丘1-1
豊橋技術科学大学環境・生命工学系  後藤 尚弘