【論 文】
揮発性有機溶剤の非平衡プラズマ分解に及ぼす共存ガスの影響
飯 島 伸 介*・遠 藤 有 紀**・西 井 智 広**・窪 田 光 宏**・松 田 仁 樹**
【要 旨】本研究は,wire-in-tube 型非平衡プラズマ反応器を用いて,特定悪臭物質である揮発性有機化合物(VOC)のイソブタノールを初期濃度100 ppm,O2濃度0〜75 vol% (バランスガスN2),相対湿度0〜60%,全ガス流量200×10-6 m3・min-1,反応温度298 Kの条件でプラズマ分解実験し,イソブタノールのプラズマ分解に及ぼす雰囲気の影響を調べた。その結果,イソブタノールの分解率はO2 濃度の増加とともに減少するが,相対湿度の増加によって増加した。O2濃度20 vol%,相対湿度60% において単位処理流量あたりの電力量SIE (Specific Input Energy) 0.90 MJ・m-3 以上でイソブタノールの分解率は1.0となった。以上より,イソブタノールの分解は水のプラズマ分解で発生したOH ラジカルによって促進されると考えられた。
キーワード:イソブタノール,非平衡プラズマ,相対湿度,揮発性有機化合物
廃棄物資源循環学会論文誌,Vol. 22, No. 5, pp. 314-321, 2011
原稿受付2010. 11. 9 原稿受理2011. 7. 19
* 新東工業(株) 新東エコテックカンパニー技術グループ
** 名古屋大学大学院工学研究科エネルギー理工学専攻
連絡先:〒464-8603 愛知県名古屋市千種区不老町
名古屋大学大学院工学研究科エネルギー理工学専攻 松田 仁樹