【特 集:水銀条約制定に向けての国際動向】

水銀の大気中移動・運命研究パートナーシップにおける現状と課題
鈴 木 規 之*

【要 旨】 水銀の大気中移動・運命研究パートナーシップは,国連環境計画 (UNEP) により設置されているグループで,水銀の大気中移動・運命に関して各国が共同して国際的な理解を増進しようとするものである。本パートナーシップは,イタリアをリード国として2005年に設立され,現在までカナダ,日本,南アフリカ,米国,およびElectric Power Plant Institute (EPRI),Natural Defense Council (NRDC),AMAP (Arctic Monitoring and Assessment Programme) Mercury expertsおよびUNEPが参加している。これまで,地球規模での水銀の発生源,各国での水銀観測の成果,地域および地球規模モデルなどを中心に,各国あるいは研究機関の成果に基づくとりまとめを行ってきたので,本稿ではそれらについて概要を紹介する。

キーワード:水銀,排出推定,長距離輸送,大気観測,モデル
廃棄物資源循環学会誌,Vol.22, No.5, pp.352-362, 2011
原稿受付2011. 8. 4
* (独)国立環境研究所環境リスク研究センター
連絡先:〒305-8506 茨城県つくば市小野川16-2