【論 文】
家庭系ごみ中可燃性成分の特性値データベース作成とその利用法に関する研究
松 藤 敏 彦*・石 井 翔 太*
【要 旨】 ごみ処理計画においては,元素組成,発熱量などのごみの特性値を知ることが重要である。しかし環整95号は代表試料採取の難しさと,組成間の水分移動,異物付着などによる誤差が生じやすい。本研究は,細組成分析値と細組成別特性値からより正確なごみ特性値の推定が行えるとの考えから,細組成別の特性値データベースを作成した。
対象は家庭系ごみ中の可燃性成分である紙類,プラスチック類の種類別,および厨芥とし,それぞれ水分流出,異物付着を避けるため,容器包装プラスチック,雑がみの分別区分から試料を採取し,厨芥は燃やせるごみの中から厨芥類のみを入れたプラスチック袋をサンプリングした。紙類,プラスチック類の組成区分は細組成分析実施自治体を参考に決定し,それぞれ43種,36種の試料を分析した。厨芥の試料数は31である。
各特性値の分布を示すほか,セルロース,プラスチックの素材,炭水化物,たんぱく質などと比較することで,ごみの詳細な特性を検討した。また分析値の使用例として,ごみ中の塩素の由来,プラスチック中の炭素量を推定し,自治体におけるごみ質分析方法について提案した。
キーワード:ごみ特性値,データベース,可燃成分,細組成,ごみ質推定
廃棄物資源循環学会論文誌,Vol.22, No.6, pp.382-395, 2011
原稿受付 2011.3.3 原稿受理 2011.9.22
* 北海道大学大学院工学研究院環境創生工学部門
連絡先:〒060-8628 札幌市北区北13条西8丁目
北海道大学大学院工学研究院環境創生工学部門 廃棄物処分工学研究室 松藤 敏彦