【特 集:金属資源の物質フローとリサイクル・廃棄物管理―物質フロー研究部会特集―】

静脈産業メジャー構想の背景と期待
木 村 正 伸*・吉 田 勝 利*・谷 津 龍太郎**

【要 旨】 現在,アジアにおいては経済成長・人口増加により廃棄物の発生量が急増しており,適正処理が追いつかず,環境汚染が発生している事例が報告されている。一方,日本では廃棄物処理・リサイクルの法制度が整備され,先進的技術の開発が進展してきたが,静脈産業の国内市場の成長には限界がある。
 こうした背景から,環境省では,2011年度より「日系静脈産業メジャーの育成・海外展開促進事業」を開始し,わが国の先進的な廃棄物処理・リサイクル技術をこれら技術の導入を支える廃棄物処理・リサイクル制度とパッケージとして,わが国静脈産業の海外展開を支援することにより,世界規模で環境負荷を低減するとともに,日本経済の活性化にも貢献することとしている。具体的な事業内容として,基盤戦略の策定,実現可能性調査等への支援,情報基盤の整備,関係者によるフォーラムの開催等を行っている。

キーワード:静脈産業メジャー,実現可能性調査,静脈産業海外展開促進フォーラム,環境研究総合推進費,アジア3R推進フォーラム
廃棄物資源循環学会誌,Vol.22, No.6, pp.437-447, 2011
原稿受付2011. 11. 22
* 環境省廃棄物・リサイクル対策部循環型社会推進室
** 環境省大臣官房長
連絡先:〒100-8975 東京都千代田区霞が関1-2-2
環境省廃棄物・リサイクル対策部循環型社会推進室 木村正伸