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No.4 2R推進への動き
 

No.4 2R推進への動き

平成23年7月 第22巻 第4号

目次

巻頭言

東日本大震災に果たした学会の役割と今後の方向性……吉岡 敏明 261

特集:2R推進への動き

リデュース・リユース(2R)の推進に向けた政策の動向について……大森 恵子 263
海外における廃棄物発生抑制・リユースの取り組み……田崎 智宏・渡辺 浩平 272
持続可能な社会への移行を目指したパブリック・マーケティング・アプローチ――減装(へらそう)ショッピングでの実践事例――……石川 雅紀・小島 理沙 279
衣類リユースの取り組み――ドンドンダウン オン ウェンズデイの事例――……岡本 昭史 287
京都市における2R推進の取り組みについて……山田 政継・野村 直史 292
行政・市民・学生共働によるリユース活動――「福岡大学リサイクルマーケット」――……松永 文江 297
2R研究の現状と課題――2R効果指標の可能性――……山川 肇・橋本 征二・田崎 智宏・藤井 実 300

平成23年度研究討論会報告

総括報告……井上 陽仁・稲葉 陸太 308
廃棄物処理法及び基本方針の改定と計画――直面する災害廃棄物処理を含め廃棄物処理計画のあり方を討論――……井土 將博 309
東日本大震災における災害廃棄物の現状と今後の課題……山田 正人 310
協働型集団回収について……南 明紀子 311
金属資源の物質フローとリサイクル・廃棄物管理……平井 康宏 312
アスベスト――負の遺産処理と環境管理を考える――……山本 貴士 313

シンポジウム報告

「東日本大震災の災害廃棄物に関する緊急報告会」および循環とくらし第2号発刊記念シンポジウム「ファッションと資源循環の共生を目指して」報告 314

会議報告

2011春季・韓国廃棄物資源循環学会参加報告 325

支部特集

関西支部における「廃棄物法制度セミナー」の取り組みについて 327
関東支部発足にあたって 329

書評

崎田裕子,鬼沢良子,中岡悦子,植木恭子 著 松田美夜子 解説:電気のごみ――高レベル放射性廃棄物 地層処分最前線を学ぶたび スウェーデン・フランス――……山本 耕平 330
玄地 裕,稲葉 敦,井村秀文 編:地域環境マネジメント入門――LCAによる解析と対策――……田崎 智宏 331

編集後記 333

平成22年度廃棄物資源循環学会主催シンポジウム報告――リサイクルからリユースへ――……企画運営委員会 250

支部だより

東北支部「山形地区講演会」開催報告…… 253

要旨

リデュース・リユース(2R)の推進に向けた政策の動向について

大森恵子*

【要旨】循環型社会構築を目指した循環型社会形成推進基本法では,ものの利用および処理の順次を,リデュース,リユース,リサイクル,熱回収,廃棄物の適正処分と定めているが,リデュース・リユースのいわゆる2R については,さらなる取り組みが必要とされている。このため,環境省では,2Rの実施による環境負荷削減効果の推計や,レジ袋辞退,マイバック持参に続くリデュース・リユースの呼びかけ等の対策を開始しており,その最近の動向について概観する。


キーワード:循環型社会形成推進基本法,2R の環境負荷削減効果,簡易包装

廃棄物資源循環学会誌,Vol.22, No.4, pp.263-271, 2011
原稿受付2011.6.2

* 環境省廃棄物・リサイクル対策部循環型社会推進室

連絡先:〒100-8975 東京都千代田区霞が関1-2-2
環境省廃棄物・リサイクル対策部循環型社会推進室  大森恵子

海外における廃棄物発生抑制・リユースの取り組み

田崎智宏*・渡辺浩平**

【要旨】本稿では,EU と北米における廃棄物発生抑制の取り組みの動向を概観し,その内容を対象物,取組手法,国の3つの視点から整理した。その結果,発生抑制取組の計測手法の検討や優良事例等の情報共有・データベース構築の取り組みが進んでいること,パートナーシップに基づく取り組みや協定が多用されていること,食品ごみ,紙ごみ,容器包装廃棄物,使い捨ておむつの削減は多くの国で注目されていること,家庭ごみだけでなく事業系ごみや産業廃棄物,有害廃棄物の発生抑制が意識されていることを確認できた。個々の取り組みは日本と類する点も多いが,啓発手段ではコーチング手法の導入事例,リユースでは素材のリユースを行う事例があるなど,取り組みの多様性が広がっており,海外から学ぶことも多いと考えられた。


キーワード:食品ごみ,紙ごみ,容器包装廃棄物,発生抑制プログラム

廃棄物資源循環学会誌,Vol.22, No.4, pp.272-278, 2011
原稿受付2011.6.1

* (独)国立環境研究所資源循環・廃棄物研究センター,
スウェーデン・ルンド大学国際産業環境経済研究所
** 帝京大学文学部社会学科

連絡先:〒305-8506 茨城県つくば市小野川16-2
(独)国立環境研究所資源循環・廃棄物研究センター 田崎智宏

持続可能な社会への移行を目指したパブリック・マーケティング・アプローチ――減装(へらそう)ショッピングでの実践事例――

石川雅紀*・小島理沙*

【要旨】循環型社会への移行について,本稿では,2Rの推進,特にリデュースの推進が重要であることを論じ,具体的な事例として特定非営利活動法人ごみじゃぱんが推進している減装(へらそう)ショッピングを紹介した。減装(へらそう)ショッピングは,政治的合意が困難な課題について,問題を市場でのデファクトスタンダード獲得競争に置き換え,市場での決着を図るパブリック・マーケティング・アプローチとみることができ,持続可能な社会へ移行するための手法の視点からみて特徴的な手法であり,他の手法と補完的に活用することが期待されることを述べた。


キーワード:パブリック・マーケティング・アプローチ,発生抑制,減装(へらそう) ショッピング,2R,環境ラベル

廃棄物資源循環学会誌,Vol.22, No.4, pp.279-286, 2011
原稿受付2011.6.7

* 神戸大学大学院経済学研究科,特定非営利活動法人 ごみじゃぱん

連絡先:〒657-8501 神戸市灘区六甲台町2-1
神戸大学大学院経済学研究科 石川雅紀

2R研究の現状と課題――2R効果指標の可能性――

山川肇* ・橋本征二**・田崎智宏***・藤井実****

【要旨】本稿では,今後の2R研究の進展に向けた基礎的情報を提供することを目的として,これまでの2R研究を概観した。2R研究のうち,2R行動の発生抑制効果や環境負荷削減効果の推定研究,発生抑制可能量の推定研究,2R 推進プログラムの効果推定研究,2R行動の要因分析研究などを簡単に紹介した。その上で,物質使用量の構造分解に基づいて2R行動を類型化し,それを踏まえた2R効果の指標体系を提案している研究を取り上げて,その考え方を紹介した。またあわせて,2R研究に求められる役割,今後の課題を抽出した。


キーワード:リデュース(発生抑制),リユース(再使用),2R,効果指標,レビュー

廃棄物資源循環学会誌,Vol.22, No.4, pp.300-307, 2011
原稿受付2011. 6. 6

* 京都府立大学大学院生命環境科学研究科
** 立命館大学理工学部環境システム工学科
*** (独)国立環境研究所資源循環・廃棄物研究センター
**** (独)国立環境研究所社会環境システム研究センター

連絡先:〒606-8522 京都市左京区下鴨半木町
京都府立大学大学院生命環境科学研究科 山川 肇

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