Japan Society of Material Cycles and Waste Management アクセス English
平成22年度 市民フォーラム

平成22年度 市民フォーラム

平成22年度・市民フォーラム「ごみについて徹底討論しよう!!」with GPN
日時:平成22年8月21日 13:00-16:00
場所:福岡大学セミナーハウス

開催挨拶
廃棄物資源循環学会九州支部 幹事長 柳瀬龍二
市民フォーラムの開会にあたり、福岡市におけるごみ減量化が進む状況を述べられ、今後の資源循環活動においては、3Rの教育面が重要であり、今回の討論が具体的に広がっていくことを期待するとして開会の挨拶とされた。

開会のあいさつ.JPG

 

【話題提供】
鹿児島大学准教授 大前慶和
演題:「体験先行の環境教育と3Rに対する意識変容 ~ 鹿児島大学Sustainable Campus Projectの事例」
環境教育について3つの事例を基に講演を頂いた。
①  鹿児島大学における、学内の食堂から出る生ごみにからのコンポストを用い、学生の手でサツマイモや、カボチャの栽培から、市内洋菓子店の協力のもと、スイーツ作りを行い、学内で販売するエコビジネス活動を紹介された。ここでは、この活動に取り組んだ学生や周囲の人には常に笑顔があったことに触れられ、環境配慮行動には「楽しさ」という面があり、「楽しさ」があって初めて活動が継続することを説明された。
また、環境教育とは本来、自然の中で学ぶ→自然のために学ぶ(知識の蓄積)→人のために学ぶ(環境保全に貢献)という3つのステップがあり、環境配慮行動の原動力にはインセンティブの付与より、参加型や体験型の教育が重要であると説明された。
② 次に、某会社社員に対して行った、環境連想ゲームを用いた環境教育の経験を紹介された。ここでは、知識を提供する通常の集合型教育ではなく、グループディスカッションを採用した参加型教育を実践されており、参加型教育における受講者が自然かつ、積極的に振舞う様子から、参加型教育の有効性について説明された。
③ さらに、参加型教育の実践として、インターネット上に「にじいろタウン」を公開し、ダンボールコンポスターによる堆肥作りや野菜の栽培を通して、遊び感覚で環境と食を学ぶ場を提供していることを説明された。

大前慶和.JPG

コメンテーターご意見1
福岡市西区役所生活環境課 重岡昌代
福岡市西区が実施している人材育成と地域への展開についてご説明頂いた。
最初に、西区では、地球温暖化やごみ問題等の環境問題解決に対する地域住民と一体となった活動として、西区地域環境サポーター育成講座(7年目を迎え、122名が修了)を開催していることを説明された。
これは、西区が重点的に取り組む「環境を守る人づくり・地域づくり事業」の一つとして意欲的な人材の発掘と育成を行い環境活動の輪を地域に広げる試みであり、講座は一方的な教育ではなく、受講生自らが「気づき、実感し、実行する」を中心に開催され、現在では修了生自らが環境活動に取り組む地域の輪、西区と住民共同の環境啓発活動へと確実に広がっていることが説明された。
修了生による環境活動としては、レジ袋ゼロを目標に活動する「姪浜駅南エコクラブ」や、ダンボールコンポスターの普及を目指す「西部環境サポータークラブ」、地元住民がエコに気づき触れるひょうたん池祭りの企画運営や、オリジナルエコバックの製作販売等を行う「エコサークルベスタ」等の活動の紹介をされた。
また、一つのスーパーによるレジ袋有料化の地域住民への協力を求める活動がきっかけに始まった、5校区とスーパー4店舗で取り組む「地域ぐるみでマイバック持参率100%大作戦」が、「ストップ温暖化『一村一品』大作戦 全国大会」で福岡県代表として参加できたことの紹介、さらには、修了生主体でおもちゃのリユース交換会、新聞エコバック、絵本カーニバル、風呂敷包み体験等のイベント(西区環境センター)が、参加者4000人を超える規模で催されたことに触れ、環境活動に対する地域住民の一体感、定着はより一層確実なものになっていることを説明された。

重岡昌代:福岡市西区役所生活環境課.JPG

コメンテーターご意見2
財団法人ふくおか環境財団 森義孝
「実体験と楽しみながら伝える住民たち」と題してご説明頂いた。
H6年より開始している西部3Rステーションでは、環境学習、人材育成、啓発イベント、情報発信、地域支援、ボランティア団体との連携等、年間300回を超える活動を通し、地元ボランティア団体等に活動拠点を提供していることを説明された。
ボランティア団体の活動事例として、実体験を基にした各種相談会の開催や、児童と共にダンボールコンポスターを用いた給食残飯からの堆肥作り、学校菜園の管理、収穫祭の開催を継続されている活動等を挙げられ、ボランティア住民が他に環境の輪を伝える活動について紹介された。

森 義孝:(財)ふくおか環境財団販売管理課.JPG

コメンテーターご意見3
九州大学大学院 近藤加代子
先の3名のご意見を通して、環境教育についてコメント頂いた。
3名が述べられた体験や事例の貴重性を述べられると共に、環境教育には自然体験、生活体験、社会体験とする体験が大切であり、環境社会をつくれる人材をつくることが環境教育の目的でもあることを述べられた。
また、小学校教育では自然体験に加え、地域協力による社会体験が重要である点、大学生のエコビジネス学習においては、自己の学習に加えて他に広めるための学習も必要であること等を述べられた。

近藤加代子:九州大学大学院.JPG

意見交換
環境教育が環境意識の高揚に結びつく一方で、環境配慮の理念が大きすぎると、その実行が困難となり、逆に環境配慮行動に拒否反応を示す場合がある。
CO2削減量の定量化は、個人の環境配慮行動の原動力というより、自治体などが環境配慮行動の効果を可視化できる点で重要である。
生ごみのコンポスト化の普及には、農家等でコンポストを大量消費する仕組みをつくることが課題であり、コンポストの安全性について広く啓蒙することも大切である。
等の数々の意見交換がなされた。

コメンテーター.JPG

閉会挨拶
廃棄物資源循環学会九州支部 副幹事長 鈴木慎也
公害を主とした環境問題に対しては急を要する対応が必要であったが、現在の環境問題でいう影響は、非常に大きいもののゆっくり進行することから、環境教育をはじめとする対応は、良い意味で、「ゆっくり」、「じっくり」、「楽しみながら」継続していくことが大切ではないかと述べられ、閉会の挨拶をされた。

閉会のあいさつ.JPG

ページの先頭に戻る