パネリストによる発表


1,人口鉱山構想・リサイクル実証試験(東北大学 中村先生)
・ 家電メーカーに聞いても製品中の金属含有量データはないといわれる。廃棄される金属量の予想をした結果、銅11万t、鉛1万t、錫5300t、貴金属類も数10t以上がポテンシャルとして腑存していると推計
・ たぬき掘りから鉱床化:グッズとバッズをきちんと選別して保管する。銅、鉛、亜鉛、PGMsは製錬で回収し、基盤等(レアメタル部分)をストック
・ 小型家電の殆どが一般廃棄物とされ、保管することが想定されておらず、社会実験の実現には多くの自治体等への折衝に労力を費やした。
・ 大館市で小型家電回収実験を周知するポスターを全戸配布。スーパーに回収ボックスを設置。3ヶ月で7t弱回収し、そのうち6tを不燃ごみから回収、回収ボックスからは1t弱。しかし回収ボックスからの方が回収個数は多い。ポテンシャルの20%程度が集まった勘定
・ 大したトラブルもなく非常にスムーズに収集実験ができた。大館市という小規模な条件だったからうまくいったという声もある。今年度は拡大実施を予定しており、秋田県北部エコタウンに範囲拡大。また秋田県以外地区へも拡大
・ コンセンサス会議として地域住民とのコミュニケーションを実施。どういう回収システムだと住民が協力できるかを模索。

2,レアメタルの国際循環とその課題(リサイクルワン 本田氏)
・ 東南アジアに進出している日系半導体メーカーの貴金属スクラップが中国に流れている状況。マレーシア-アメリカのように協定国間の流れも。
・ 半導体工場800社にアンケートをしてみると、情報不足4割、適正な事業者が少ない3割等の課題が浮上。バーゼル手続きをしている件数は少なく、公開情報がない。
・ 貴金属スクラップの市場は2,757億円あると推定(台湾除く)。日本に持ち込んでくるビジネスの可能性
・ 東南アジアには一次製錬施設がないため、中国や欧米に輸出。中国ではプリント基板の野焼き処理が横行
・ シンガポールからの輸入実証事業を実施。通しで6ヶ月間かかった。バーゼル手続が短縮することで、倉庫の保管コスト圧縮が図れ、5万円/tから2万円/tにコスト低減が可能となる
・ 製錬等の受入施設を予め登録制にしておくなどの改善案があると思う。

3,国際循環港構築に向けての現状と課題(九州テクノリサーチ 佐藤会員)
・ 国際循環港とは、国際資源循環(輸出入)の拠点、安全性、利便性、関係者のwin-winを担保するもの。具体的機能は、港湾、前処理、保管・検査、手続、リサイクル機能。単なる物流の通過点ではダメで、街道ではなく宿場にならないと実現は難しい。
・ 北九州市は国際循環拠点のイメージを示した。NTTデータ経営研究所などとの連携でトレーサビリティ実験中。大水深港湾のひびきコンテナターミナルが拠点。
・ 輸出の総量規制(例:7割は輸出して良いが3割は国内処理しなければいけない)のようなことも考えられる
・ 今後は環境負荷低減の徹底、単なる通り道からそこでビジネスが生まれる仕組みの構築、、国内リサイクル産業との連携等が求められる。東アジアに、相互監視がきいて安全なエコタウンのようなものがたくさんできれば、国際資源循環の安全確保の仕組みのひとつの拠点を構築できる。