Japan Society of Material Cycles and Waste Management アクセス English
第16回企画セッション 「出揃った!?各種メタン発酵システムの稼働状況」のご報告

第16回企画セッション 「出揃った!?各種メタン発酵システムの稼働状況」のご報告

中温湿式・高温湿式・縦型乾式・小規模普及型メタン発酵システム事業者からの報告-

再生可能エネルギー固定価格買取制度により第四次バイオガスブームが起き、メタン発酵システムの導入に拍車がかかっている。これまでの中温および高温湿式メタン発酵システムに加え、この夏には、香川県にて、一般廃棄物を対象として国内で初めて縦型乾式メタン発酵システムの実機が稼働した。愛知県東三河地域では、二年前より、中規模養豚農家へ、採算性を考慮した小規模普及型メタン発酵システムが導入され、これまでに三ヶ所で稼働している。昨年より、豊川浄化センター(愛知県が管理)では、高温湿式で効率的に下水汚泥をバイオガス化している。同じく昨年より中島処理場(豊橋市)のメタン発酵処理システムは、中温湿式、国内最大級、さらに最新のものであり、下水汚泥と共に生ゴミ等を混合処理しバイオガス化している。今回は、固形廃棄物に対し各種メタン発酵システムが実機として出揃ったことから、それぞれの事例をご講演いただいた。そして、今後の方向性や課題等についてパネルディスカッション形式にて議論を行った。会場には100名を越える聴講者があった。

バイオマス系廃棄物研究部会長で豊橋技術科学大学の大門裕之氏の司会により、挨拶と部会参加の呼びかけを行い、メタン発酵システムの種別の説明と共に、本企画セッションの主旨を説明した。さらに、愛知県、香川県、青森県および東三河地域におけるメタン発酵システム導入状況を紹介し、中島処理場の概要を説明した。

講演では、愛知県東三河建設事務所 山田憲男氏より、豊川浄化センターにおける下水道汚泥利活用状況の紹介があった。まずは下水道事業に関するバイオマス活用について歴史的な背景が述べられ、東三河振興ビジョンの説明があった。豊川浄化センターの全体概要の紹介がありPFI事業の概要とその特徴が述べられた。高効率なシステムであり、現在は、当初の想定を越えるバイオガスの発生量があることが報告された。また、豊川浄化センターで行われている下水熱を利用した大規模植物工場によりミニトマトの生産および市民ファンド付メガソーラーの取り組みが紹介された。いずれも下水処理場における先進的な取り組みであった。

(株)富士クリーン 町川和倫氏より、縦型乾式メタン発酵システムの稼働状況について紹介があった。まず企業と地域の紹介と共に、地域の課題が述べられ、事業目的、メタン発酵処理方式の比較、事業概要とスケジュールが報告された。メタン発酵システムのフロー図と写真と共に、工程ごとに稼働状況が説明された。バイオマス調達から得られたエネルギー供給、システム全体まで様々な工夫が紹介された。高効率選別装置と縦型乾式メタン発酵システムにより、既存の廃棄物収集方式を変更することなく、高いバイオマスの利活用ができることが紹介された。

豊橋技術科学大学 熱田洋一氏からは、広がりつつある小規模普及型バイオガス発電システムの現状報告があった。中規模養豚農家へシステムを導入できた背景から、なぜ社会実装ができたのかの説明が入念にされた。三ヶ所の養豚農家に導入されているシステムの稼働状況を紹介し、採算性が考慮されていることに加え、臭気問題の軽減に大きく役立っていることが紹介された。また、今後の展開や方向性に関しても報告があった。

パネルディスカッションにおいて、まずは、それぞれで事業が計画的に進んでいる背景や現場の苦労話を紹介した。愛知県の今後に対する質問や、小規模普及型メタン発酵システムに対する運転管理者の養成の必要性について議論が交わされた。企画セッション終了後も、聴講者と講演者の間で、意見交換が活発に行われた。アンケートは60%強の回収率があった。今回、企画セッションでは行えなかった質問や意見なども記載してもらい、後日、ホームページ上あるいは、個別に回答する形式を取った。このようにして部会の活動に理解を得て、部会員の増員を試みた。

 

<セッションの様子>

ページの先頭に戻る