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No.1 食品リサイクル

平成26年1月 第25巻 第1号

目次

年頭所感

家電リサイクル法雑感……大塚  直 1 (PDFはこちら [1]

特集 食品リサイクル

食品リサイクル特集にあたって――食品リサイクルの充実に向けて――……中村 一夫 3
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食品リサイクルをめぐる現状と課題――食品ロス削減を通じた経済成長への貢献―― [3]……長野 麻子 5
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食品廃棄物の再生利用の現状と課題――食品リサイクル法に基づく施策と廃棄物系バイオマス利活用促進の取り組み―― [5]……庄子 真憲 13
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自治体における廃棄物系バイオマス利活用と技術実証研究について [7]……渡邉晋一郎・森田 佳之・中村 一夫 20
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長岡市生ごみバイオガス化事業 (PFI事業) [9]……井上 侑香・長部 恵介 31
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南但地域における可燃ごみのバイオガス化と焼却のコンバインドシステム [11]……高岡 好和・河村 公平・角田 芳忠 36
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食品ロス削減のための商慣習検討ワーキングチームの取り組み報告 [13]……石川 友博 43
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食品廃棄物のリデュース・リサイクルによる都市廃棄物処理戦略に関する展望 [15]……酒井 伸一・矢野 順也 55
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平成25年度研究発表会報告

研究発表会概要…… 69 (PDFはこちら [17]
特別プログラム報告…… 72 (PDFはこちら [18]
国際セッション報告…… 73 (PDFはこちら [19]
施設見学会報告…… 76 (PDFはこちら [20]
市民展示報告…… 77
企画セッション報告…… 79 (PDFはこちら [21]

支部特集/支部だより

支部だより:九州支部の活動と今後の取り組み…… 90 (PDFはこちら [22]
支部だより:関西支部「技術セミナー・施設見学会」開催報告…… 92 (PDFはこちら [23]

書評

日本科学者会議・日本環境学会 編:環境・安全社会に向けて 予防原則・リスク論に関する研究……滝上 英孝 95
植田充美 監修:リサイクルバイオテクノロジーの最前線……高見澤一裕 96

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要旨

食品リサイクルをめぐる現状と課題――食品ロス削減を通じた経済成長への貢献――

長 野 麻 子*

【要 旨】 食品リサイクル法は施行状況の点検時期を迎えており,2013(平成25)年7月に論点整理がまとめられた。この中では,①食品ロス削減を通じた経済成長への貢献 (リデュース) と,②食品循環資源の最大限の活用による地域の循環産業の創出と活性化 (リサイクル) という2つの軸で整理され,今後の食品リサイクル制度の目指すべき姿の検討の方向性が示された。
本稿では,食品ロス削減 (リデュース) に関して,世界の動き,日本における現状,民間企業による取り組みの進捗状況,国の取り組み等の概要を紹介する。


キーワード:食品リサイクル法,食品廃棄物,発生抑制,食品ロス削減国民運動,フードバンク

廃棄物資源循環学会誌,Vol.25, No.1, pp.5-12, 2014
原稿受付 2013.12.9

* 農林水産省 食料産業局バイオマス循環資源課食品産業環境対策室

連絡先:〒100-8975 東京都千代田区霞ヶ関1-2-2
農林水産省 食料産業局バイオマス循環資源課食品産業環境対策室  長野 麻子

食品廃棄物の再生利用の現状と課題――食品リサイクル法に基づく施策と廃棄物系バイオマス利活用促進の取り組み――

庄 子 真 憲*

【要 旨】 食品関連事業者の事業活動に伴い排出される食品廃棄物の再生利用の取り組みは,食品リサイクル法により,食品製造業を中心に着実に進展してきた。しかし,食品流通の川下で発生する食品廃棄物は,肥料や飼料等に再生利用することが可能であるにもかかわらず,利用されずに大量に廃棄されている。一方,家庭から排出される食品廃棄物の再生利用はごく一部に限られ,ほとんど焼却されているが,生ごみのメタンガス化は売電量が多く温室効果ガスの発生量も少ないことから,今後の動向が注目される。
本稿では,食品リサイクル法に基づく食品関連事業者による食品廃棄物の再生利用を促進するための施策と今後の展望を概説する。また,家庭系食品廃棄物等の廃棄物系バイオマスの利活用促進に関する環境省の支援の取り組みを紹介する。


キーワード:食品廃棄物の再生利用,食品リサイクル法,食品リサイクル・ループ,廃棄物系バイオマス,地域循環圏

廃棄物資源循環学会誌,Vol.25, No.1, pp.13-19, 2014
原稿受付 2013.12.5

* 環境省 廃棄物・リサイクル対策部リサイクル推進室

連絡先:〒100-8975 東京都千代田区霞が関1-2-2
環境省 廃棄物・リサイクル対策部リサイクル推進室  庄子 真憲

自治体における廃棄物系バイオマス利活用と技術実証研究について

渡 邉 晋一郎*・森 田 佳 之*・中 村 一 夫**

【要 旨】 食品廃棄物等の廃棄物系バイオマスの利活用は,低炭素社会や循環型社会の構築に向けて重要である。しかしながら,生ごみ等の一般廃棄物系バイオマスについては,薄く広く存在し,収集面でも困難が多いため,利活用が進んでいない状況である。このような状況の中で,食品ロスの削減や食品廃棄物のリサイクル促進等に向けて「食品リサイクル法」の見直しが検討されている。そこで,今後の各自治体での食品廃棄物等の廃棄物系バイオマスの利活用の促進に向けて,先進的なバイオマス利活用技術や京都市でのバイオガス化や選別システム等のバイオマス利活用の技術実証研究を含めた取り組みを紹介する。


キーワード:食品リサイクル法,廃棄物系バイオマス,食品廃棄物のリサイクル,バイオガス化,選別システム

廃棄物資源循環学会誌,Vol.25, No.1, pp.20-30, 2014
原稿受付 2013.12.15

* 京都市環境政策局適正処理施設部
** (公財)京都高度技術研究所

連絡先:〒600-8831京都市下京区中堂寺南町134番地
(公財)京都高度技術研究所  中村 一夫

長岡市生ごみバイオガス化事業 (PFI事業)

井 上 侑 香*・長 部 恵 介**

【要 旨】 2013年7月に稼動開始した長岡市にある生ごみバイオガス発電センターは,処理規模が平均65ton/日の自治体が発注する国内最大規模の生ごみ処理施設である。
本施設は,長岡市内から収集された生ごみをメタン発酵処理し,発生するバイオガスにより発電を行うとともに,発酵残渣も有効利用する先進的な施設である。
長岡市生ごみバイオガス化事業は,民間企業のノウハウ・技術能力を活用するPFI方式であり,特別目的会社 (株)長岡バイオキューブが本施設の設計・建設から運営・維持管理までを一括して行う。
本稿では,長岡市における本事業実施までの経緯,長岡市独自の生ごみの分別収集方式,施設の処理フローについて紹介を行う。


キーワード:PFI事業,生ごみ,メタン発酵,バイオガス,発電

廃棄物資源循環学会誌,Vol.25, No.1, pp.31-35, 2014
原稿受付 2013.12.16

* JFEエンジニアリング (株) アクア事業部プラント技術部運営事業推進グループ
**(株)長岡バイオキューブ 生ごみバイオガス発電センター

連絡先:〒230-8611 神奈川県横浜市鶴見区末広町2-1
JFEエンジニアリング (株) アクア事業部 プラント技術部運営事業推進グループ  井上 侑香

南但地域における可燃ごみのバイオガス化と焼却のコンバインドシステム

高 岡 好 和*・河 村 公 平**・角 田 芳 忠**

【要 旨】 南但広域行政事務組合は兵庫県北部の但馬地方に位置し,南但クリーンセンターは,環境省循環型社会形成推進交付金を受けた高効率原燃料回収施設として,2013年5月に竣工した (発電設備を除く)。この施設は,高温乾式メタン発酵によるバイオガス化設備と焼却による熱回収設備のコンバインドシステムであり,自治体施設では国内で最初に竣工したものである。また,搬入されるごみを施設内で機械式破砕選別する方式を採用し,住民によるごみの分別収集を必要としないという特徴がある。さらに,FIT (再生可能エネルギー固定価格買取制度) による電力買取制度を利用したバイオガス発電設備としても注目を集めている。
本稿では,小規模ごみ処理施設におけるバイオマスエネルギー利活用の先進的なモデル事例として,施設建設までの経緯,FITへの対応,施設概要,破砕選別装置と選別ごみ,メタン発酵設備,施設全体の物質収支と電力収支について報告する。


キーワード:メタン発酵,固定価格買取制度,破砕選別装置,発電,熱回収

廃棄物資源循環学会誌,Vol.25, No.1, pp.36-42, 2014
原稿受付 2013.12.10

* 南但広域行政事務組合 南但クリーンセンター
** (株)タクマ エンジニアリング統轄本部 企画・開発センター技術開発部技術企画部

連絡先:〒660-0806 兵庫県尼崎市金楽寺町2-2-33
(株)タクマ エンジニアリング統轄本部 企画・開発センター技術開発部技術企画部  角田 芳忠

食品ロス削減のための商慣習検討ワーキングチームの取り組み報告

石 川 友 博*

【要 旨】 本稿は,食品流通業界における食品ロス削減に向けた活動として,食品ロス削減のための商慣習検討ワーキングチーム (商慣習検討WT) を取り上げ,事務局を務めた立場から,その検討経過を報告する。商慣習検討WTは2012年9月に発足し,食品ロス発生に影響を及ぼしている商慣習の見直しに向けた議論を行ってきた。2012年度は,食品ロス,返品および商慣習の実態把握を進め,2013年3月に,食品流通の食品ロス削減に資すると考えられる,主に4項目からなる提言をまとめた。2013年度,WTはこの提言に沿って活動を行っている。とくに,納品期限見直しパイロットプロジェクトは多数の企業が参加し,食品ロス削減効果検証の大きな取り組みとなっている。パイロットプロジェクトはまだ中間結果をとりまとめたところだが,食品ロス削減に一定の効果があることが確認されつつある。本稿ではこうしたWTの一連の活動を報告する。


キーワード:食品ロス,商慣習,納品期限,賞味期限,表示方法

廃棄物資源循環学会誌,Vol.25, No.1, pp.43-54, 2014
原稿受付 2014.1.6

* (公財)流通経済研究所

連絡先:〒102-0074 東京都千代田区九段南4-8-21 山脇ビル10F
(公財)流通経済研究所 石川 友博

食品廃棄物のリデュース・リサイクルによる都市廃棄物処理戦略に関する展望

酒 井 伸 一*・矢 野 順也*

【要 旨】 食品廃棄物の3Rに対する取り組みは国内外で近年目まぐるしく展開されている。本報では食品廃棄物の定義や発生量等について国内外の現状を整理し,リデュース・リサイクルのLCAに関する複数の研究事例から定量的な効果を総合的に検討した。加えて老朽化が進んでいる国内の焼却施設の施設更新に伴う都市廃棄物 (MSW) 処理戦略として,食品廃棄物の嫌気性メタン発酵の導入による国内のエネルギー回収,温室効果ガス削減ポテンシャルを推定した。食品廃棄物のメタン発酵バイオガス発電とその他都市廃棄物の高効率焼却発電を組み合わせることで,2011年現在と比較して2020年には37%,2030年には64%の発電電力量増加が期待できる。現在未利用の家庭系をはじめとするMSW中の食品廃棄物のメタン発酵利用は,特に焼却発電が難しい規模の中小都市にとって重要なエネルギー回収,温室効果ガス削減手段となることが期待できる。


キーワード:食品廃棄物,リデュース,リサイクル,メタン発酵,温室効果ガス

廃棄物資源循環学会誌,Vol.25, No.1, pp.55-68, 2014
原稿受付 2014.1.7

* 京都大学環境科学センター

連絡先:〒606-8501 京都市左京区吉田本町
京都大学環境科学センター 酒井 伸一