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No.5 循環にかかわる人たちをつなぐ,増やす環境学習施設と事業所見学

平成29年9月 第28巻 第5号

目次

巻頭言

市民こそ市区町村の底力……佐々木五郎 327
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特集 循環にかかわる人たちをつなぐ,増やす環境学習施設と事業所見学

組織のコンパクト化による環境学習施設運営の円滑化……渡辺信久 329
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進化し続ける環境学習・体験施設――魅力ある施設を保つ組織運営―― [3]……大平和弘・中瀬 勲 332
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市民主導の環境活動――市民から市民へ伝え合い・リサイクルプラザは誰のもの?――……石塚祐江 339
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ごみ処理施設での環境学習,その持続可能な運営を求めて [6]……花嶋温子 343
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社会発信型処理施設が目指すモノの活用・分解ワークショップが提供する知的な科学遊び……中台澄之・鈴木榮一 349
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(公財)東京都環境公社で実施している見学会――埋立処分場から発信するごみ減量――……杉山 明・金田忠世・小山由美 353
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教育研究機関との連携が相互の刺激を生む――「せんだい環境学習館(たまきさんサロン)」の輪――……樋口千恵 358
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経営戦略としてのモノづくり現場の「見せる化」に関する考察 [11]……皆川健多郎 363
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環境産業・工場の見学を通じた市民の学び [13]……鈴木靖文 368
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廃棄物アーカイブシリーズ/『ゴミ戦争』の記録

第16回:廃棄物処理法が制定された頃……横田 勇 375
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消費者・市民研究部会,関東支部 共同企画セミナー報告

マイクロプラスチック汚染への対策と取組……山川 肇 380
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平成29年度廃棄物資源循環学会シンポジウム報告

PCB処理完遂への展望……鈴木慎也 384
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支部特集/支部だより

支部だより:北海道支部「施設見学会・ポスター発表会」開催報告…… 389
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書評

蟹江憲史 編著:持続可能な開発目標とは何か――2030年へ向けた変革のアジェンダ――……堀田康彦 391
阿部泰隆 著:廃棄物法制の研究――環境法研究II――……福士 明 392

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要旨

進化し続ける環境学習・体験施設――魅力ある施設を保つ組織運営――

大 平 和 弘*・中 瀬   勲*

【要 旨】 環境学習・体験施設への人々の価値観や要求が多様化する中,行政サービスの整理・縮小等により,施設を担う組織や運営のあり方を見直す時期にきている。本稿は,筆者らの博物館運営に関する諸プロセスで得た知見に基づき,施設の運営において肝要な点を整理したものである。まず,来館者の興味関心を効果的に引き出し,セルフで学習できるコンテンツの開発やリピーター創出の仕掛けづくり等を実践する上で,エデュケーターの発想やノウハウが不可欠であることをあげた。次に,他施設とのネットワークを構築し,地域との連携を強化する具体例をあげるとともに,地域で生涯学習や施設の運営を担うことのできる人材育成に取り組む必要性について紹介した。そして,魅力ある施設であり続けるためには,社会情勢に対応した運営組織へと常に進化し続ける姿勢が重要であることを示した。


キーワード:環境学習・体験施設,組織運営,エデュケーター,地域連携,博物館運営

廃棄物資源循環学会誌,Vol.28, No.5, pp.332-338, 2017
原稿受付2017.8.7

* 兵庫県立人と自然の博物館

連絡先:〒669-1546 兵庫県三田市弥生が丘6丁目
兵庫県立と自然の博物館 自然・環境マネジメント研究部 大平 和弘

ごみ処理施設での環境学習,その持続可能な運営を求めて

花 嶋 温 子*

【要 旨】 日本の一般廃棄物処理においては,市民の3R行動が重要な要素となっている。3R行動を促す基礎にはごみ処理施設の環境学習施設の存在がある。ごみ処理施設は,これまで40年近くにわたり小学生の見学を受け入れ,しかも既に全国に均等に施設が設置されている。この貴重な資産をより活用し,持続可能なものにするための要点について考察した。まず,ごみ処理施設による環境教育活動の現状と運営主体,さらに,指定管理者制度等,新たな運営方式の導入状況,そして,今後の運営に関する課題について整理した。さらに同様の社会教育施設である図書館・博物館・公民館の事例から課題とその解決策を類推した。ごみ処理施設の環境学習施設の持続可能な運営には,①ミッションの再確認,②施設間の連携と協力,③評価指標の開発,④従事する人材の育成とキャリア支援,以上の4つの点が重要であると指摘した。


キーワード:環境学習,リサイクルプラザ,焼却工場,指定管理者制度

廃棄物資源循環学会誌,Vol.28, No.5, pp.343-348, 2017
原稿受付2017.8.21

* 大阪産業大学 デザイン工学部

連絡先:〒574-8530 大阪府大東市中垣内3-1-1
大阪産業大学 デザイン工学部  花嶋 温子

経営戦略としてのモノづくり現場の「見せる化」に関する考察

皆 川 健多郎*

【要 旨】 本論文では,大阪市東成区で実施された企画を例に,モノづくり現場の「見せる化」について考察を加えている。大阪市東成区は,多くのモノづくり企業が集積する地である。近年,マンションの開発が進む中,住居と工業が共存できるまちづくりを目指して,懇談会を設立し,産官学連携により活動を進めている。その結果,これまで13回の工場見学会を開催し,延べ300人強の参加者を受け入れている。この企画の直接的,間接的効果をそれぞれまとめ考察を加えている。最後に,取り組みの課題をまとめている。


キーワード:工場見学,見せる化,経営戦略,産学官連携

廃棄物資源循環学会誌,Vol.28, No.5, pp.363-367, 2017
原稿受付2017.7.31

* 大阪工業大学 工学部 環境工学科

連絡先:〒535-8585 大阪市旭区大宮5丁目16-1
大阪工業大学 工学部 環境工学科  皆川 健多郎

環境産業・工場の見学を通じた市民の学び

鈴 木 靖 文*

【要 旨】 家庭由来の循環資源物を効果的にリサイクルするためには,分別時に異物混入をしないなど,排出者である市民の協力が不可欠となる。なぜ分けないといけないのか,禁忌品として警告がされているのはなぜか,その理由がわかり納得できるとリサイクルも進むと期待される。そのためには,選別やリサイクル,廃棄等の処理が実際に行われている現場の現状を見ることが有効であり,民間事業者を含め,廃棄物処理・資源循環にかかわる施設への見学が開かれていることが望ましい。
ただし,見学すると「正しい分け方」を納得できるといった特効薬であるわけではなく,現場を見ることで新しい疑問が生じていくことも多い。むしろ,処理にかかわる方々とのコミュニケーションを通じて,現場で起こる問題を共有し,「より望ましい分け方や仕組み」を考える基盤になることが重要であり,そうした共感の上に循環型社会の構築が進むものと考えられる。


キーワード:リサイクル施設,施設見学,環境意識,雑がみ,禁忌品

廃棄物資源循環学会誌,Vol.28, No.5, pp.368-374, 2017
原稿受付 2017.8.14

* (有)ひのでやエコライフ研究所

連絡先:〒600-8085 京都市下京区葛籠屋町515-1
(有)ひのでやエコライフ研究所  鈴木 靖文