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平成30年度関東支部施設見学会(東京都臨海部に立地の施設)の開催報告

関東支部では、2018年8月24日(金)に「平成30年度関東支部施設見学会」を開催しました。今年度は、東京臨海部に位置する中央防波堤埋立処分場及びスーパーエコタウン事業で整備された先進的なリサイクル施設であるアルフォ株式会社第2飼料化センター、成友興業株式会社城南第二事業所の見学を企画しました。参加者には、これら見学場所の最寄り駅である東京テレポート駅を集合場所としていただきました。見学会当日は、あいにく台風20号が西日本を縦断しており、交通機関への影響が心配されましたが、参加者50名(当日欠席1名、事前連絡による欠席1名)全員無事チャーターした大型バスに乗り込みほぼ定刻通り出発することができました。

午前中は、中央防波堤埋立処分場見学を行いました。まず、環境局中防合同庁舎に行き10階見学者説明室で、中央防波堤埋立処分場の概要と東京都の埋立処分場の変遷について説明を受けました。

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処分場の変遷について、昭和2年より江東区潮見の8号地でごみの埋め立てが開始され、「夢の島」の愛称で知られる14号地、若洲15号地、中央防波堤内側埋立処分場と埋め立てられ、現在は、中央防波堤外側埋立処分場と新海面処分場で埋め立てが行われています。

埋め立てごみの質や量も時代とともに変化しており、高度経済成長期には、ごみ量が爆発的に増加し、生ごみの一部も焼却処理されずに埋め立てられていたため、メタンガスによる火災やハエの大量発生等、ごみ問題が深刻化した。そのため、当時、東京都知事が「ごみ戦争」を宣言する事態となりました。平成元年以降、23区のごみ量は減少し、さらに平成20年度には、これまで不燃ごみとして埋め立てていた廃プラスチック類のサーマルリサイクルを全区で実施し、それにより埋立処分量が削減されました。

現在の処分場では、23区内で発生する一般廃棄物の中間処理残さや下水汚泥、都内の中小企業が排出する産業廃棄物を埋立処分していて、埋立量も平成元年のピーク時に比べて大幅に削減されています(平成28年度、ピーク時比85%減の35万トン)。しかし、新海面処分場の後、東京には処分場をつくる新しい空間はなく、50年以上とされる現在の処分場が埋立終了をした後には、ごみの行き場がなく、今後は処分場の延命化が重要な課題となります。その中で、次の世代につなげていくため、3つのR(Reduce, Reuse, Recycle)の大切さを伝えていき、様々な工夫した3Rの実践により埋立処分量の最小化をさらに推進していきたいというお話でした。

30分程度の説明を受けた後、バスに乗って合同庁舎を後にし、中央防波堤内側埋立地にある粗大ごみ破砕処理施設(年間7万2千トン)及び不燃ごみ処理センター(年間5万5千トン)へ向かい、バス内から施設見学を行きました。

粗大ごみとして最も多く出されるのは布団で一日3000枚程度、続いてタンス等の箱物家具、これら粗大ごみは、50kgハンマーが32個取り付けられた回転式破砕機で破砕され、磁選機で鉄を選別回収した後、焼却できる粗大ごみ処理残さは、清掃工場で焼却処理され、焼却できない残さは埋立処分されます。

不燃ごみ処理センターでは、不燃ごみを回転式破砕機で破砕し、破砕物は磁選機とアルミ選別機により鉄とアルミニウムを回収しています。これら粗大・不燃ごみ処理過程で資源として回収された鉄・アルミニウムは売却され、その売却益は年間2億7千万円とのことでした。

中間処理施設の見学後、埋立処分場へバスで移動しました。処分場へ入り、右手に新海面受付ゲートを見ながら、最終処分場内の外周道路に進むと、左手には埋立地の山が見え、その山には60m間隔ごとにガス抜き管のパイプが設置されていました。また、埋立地の周囲には、ごみが海に飛散しないようにネットフェンスが設置されていました。途中、集水池でバスは一旦停止し、参加者は、浸出水の黒さや集水池の水温が40℃程度あるという説明等に驚いていました。

その後、右手に東京ベイブリッジを望みながら、バスは埋立地の山を登っていき、登りが緩くなったその先には、容量15万m3の調整池があり、集水池の浸出水を調整池に集めて溜め、水質を均質化してから、中央防波堤内側埋立地にある硝化槽を有する排水処理場で処理され、下水道に放流された後、砂町水再生センターに送水され、処理された後に東京湾に放流されています。

さらに、バスは進み、高さ30mの天端の見晴らし広場に到着し、バスを降りて処分場の見学を行いました。この見晴らし台からは、処分場や東京港を見渡すことができます。参加者は、この埋立処分場の広大さに驚かされ、写真を撮ったり、記念碑を見たり、案内職員に質問したりと思い思い処分場を満喫していました。見晴らし台の見学を終えた後、参加者は、再びバスに乗り込み、昼食会場のテレコムセンターに向かい、ここで午前中の見学会は終了しました。

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午後は、東京臨海部城南島地区に位置する先進的なリサイクル施設である食品廃棄物飼料化・バイオガス発電施設(アルフォ株式会社)と埋設廃棄物・建設汚泥等資源化施設(成友興業株式会社)に2班に分かれて施設見学を行いました。アルフォ城南島第2飼料化センターは、2013年のスーパーエコタウン事業の第三次公募に採択され、整備されたものです。

当センターは、都内近郊から収集した事業系一般廃棄物と産業廃棄物の食品廃棄物を飼料化するとともに、液体状の食品廃棄物をメタン発酵させてバイオガス発電を行うことが特徴となっています。先進的な技術である「油温減圧式脱水乾燥法」による飼料化を行っており、てんぷらを揚げて水分を蒸発させる原理を利用して(天ぷら方式)、食品廃棄物の乾燥・脱水を行い配合飼料原料を製造しています。

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本方式は、油を熱媒体とするため、水溶性タンパク質の溶出がなく、飼料原料のカロリーが高く、さらに熱をかけるため殺菌作用もあります。受け入れ可能な廃棄物は、卵の殻や骨も含めて生ごみなら全て大丈夫ということでしたが、糖分が多すぎると焦げてしまうので、クッキーや飴の塊等は少しずつ処理するとのことでした。

処理能力は、飼料化施設が一日当たり最大140tで、これに一日30tの処理能力を持つメタン発酵による発電施設(一日400世帯分)を有し、合計で最大一日当たり170t処理することができます。

パンフレットによる説明とDVD視聴による施設の概要説明後、施設内に移動し、各施設の状況を見学しました。原料ホッパーから分別機、予備処理タンク、クッカー(生ごみを油で揚げ脱水乾燥を行う装置)、油分離装置、搾油機、ガス発電施設と処理工程に沿って施設を見学しました。

第二飼料化センターに導入された新型クッカーは、加熱用伝熱面の露出が少ない構造で、乾燥機での蒸気使用量を削減できるとともに、一工程(10トン)を10分間短縮することができ、約80分間という短い処理時間で飼料を製造することができるということでした。

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施設内の見学後、参加者から飼料会社の受け入れ基準等について質問がありましたが、国で定めた基準に適合しているということでした。また、食品廃棄物をターゲットとしているということで、隣接するバイオエナジー株式会社と競合してしまうのではないかという質問もありましたが、分別の程度などにより、すみ分けになっているということでした。

続いてのリサイクル施設である成友興業株式会社城南島第二工場も、アルフォ株式会社の施設と同様に東京都スーパーエコタウン事業の第三次公募で採択された施設です。建設工事から発生する汚泥等を受け入れ、最新技術であるシルトデハイダーや炭酸マイクロバブルを組み合わせた脱塩技術等を導入した高度洗浄処理設備により砂利と砂に分級し、砂は製品として建設資材(埋戻し用砂、流動化処理土の原料)として出荷しています。

シルトデハイダーは篩機と遠心分離機を装備した成友興業独自開発の分級装置で、従来75μmまでしか分級できなかった砂を32μmまで分けることができ、製品品質を向上させることができるものです。特に、関東ローム層のように細粒分の多い土質の処理に適しています。

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さらに本施設は、災害に伴い発生するがれき類の処理、塩素を含む土砂混じりの廃棄物処理に対しても対応可能です。また、第二工場の稼働に伴い、環境分析センターでの計量証明事業と指定調査機関事業が加わり、現地調査から対策・処理までを行えるワンストップ体制を整えています。

パワーポイントによる施設の概要説明とDVD視聴の後、場内の施設が一望できる3階の屋上に行き、設備を見ながら城南島第二工場の処理フローの説明を受けました。

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その後、分析センターに行き、窓越しに分析装置や分析業務を見学しました。その際、参加者からは、「分析項目」や「施設からは排出される排水」、「炭酸マイクロバブルによる脱塩(ただし、現在、炭酸マイクロバブル洗浄装置は処理対象とする焼却灰の受入がないため稼動していないということでした)」等について質問をしていました。最後の質疑応答としては、シルトデハイダー等の最新技術導入によるイニシャルコストがかかっても全体的な採算が取れるのか質問がありましたが、32μmの微砂から40mmまでの品質の高い様々な建設資材として資源化することにより、全体としてのコストカットにつながるという答えでした。

アルフォ株式会社、成友興業株式会社のどちらの施設も、独自の先進的な技術を有する、大変興味深い施設でした。見学者にとっても先進的な資源化施設を目で見て、肌で感じることができ大変有意義なものでした。

2018年度以降も引き続き関東支部では、見学会を開催し、参加者により満足いただける機会を提供していく予定です。最後に、本見学会開催にご協力いただいた関係者および参加いただいた皆様に厚く御礼申し上げます。

報告担当者:運営委員 茂木敏、鈴木和将