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令和元年度関東支部施設見学会(群馬県内施設)の開催報告

関東支部では、2019年8月30日(金)に、「令和元年度関東支部施設見学会」を開催しました。今年度は群馬県の覆蓋式一般廃棄物最終処分場「めいわエコパーク」と、溶融スラグ(人工砂)製造、廃油リサイクル及び低濃度PCB処理を行っている「群桐エコロ株式会社」の施設見学を行いました。参加者(39名)には館林駅前に集合していただき、大型バスに搭乗して出発しました。

○めいわエコパーク(群馬県邑楽郡明和町)

「めいわエコパーク」では、施設の概要について説明を頂いた後に、最終処分場と浸出水処理施設を見学しました。この最終処分場は、館林衛生施設組合のごみ焼却施設(たてばやしクリーンセンター)から発生する焼却灰を埋立処分している施設で、平成30年から本格稼働した新しい施設です。施設の当初の計画では第2期を含む全体で15年間の埋立期間でしたが、焼却灰の資源化の取り組みを行い、最終的には30年間の埋立処分計画となっています。施設の特徴としては、クローズド型(覆蓋式)の一般廃棄物最終処分場(群馬県内で3例目)となっていることから、廃棄物の飛散防止が確実に図られ、田園地帯となっている周辺環境に配慮した景観の確保がされているとの説明がありました。
処分場内部の見学では、施設の構造についての説明を聞いたり、埋立状況や散水の状況を見たりすることができました。埋立容量は19,000m3(第1期)で、長さ90m×幅30m×深さ8.7mの鉄筋コンクリートピット構造となっています。遮水構造は、底盤及び側壁に遮水シートが張られ、底盤は2重の遮水シートで浸出水の流出防止を行うと共に、漏水検知システムを設置し遮水シートに損傷がないか確認を行っています。受入対象としている主な廃棄物は、たてばやしクリーンセンターの焼却灰や、いたくらリサイクルセンターの破砕くずで、見学時には主に焼却灰が見受けられました。また、処分場から発生する浸出水は場外放流をしない構造となっていて、排水処理施設で処理された水は処分場内への散水に循環再利用されます。排水処理施設は、処理能力5m3/日で、処理プロセスとしては、①カルシウム除去→②生物処理(ばっ気槽・脱窒槽)→③凝集膜分離→④高度処理(活性炭・キレート)→⑤脱塩処理、の順となっています。生物処理などから発生する排水処理汚泥は最終処分場に埋立処分され、脱塩処理から発生する塩水は乾燥工程を経て固形状にしてリサイクルされる計画となっています。処理水は消毒後に循環設備に送られます。施設を見学した後の質疑応答では、施設計画時の住民合意に関する内容や、処分場の浸出水処理と処分場安定化に関する内容など、熱心なやりとりがされていました。さらに、次の施設への移動中にも、クローズド型最終処分場の歴史や技術的特徴、国内における埋立廃棄物の長期的な推移(有機物主体から焼却灰主体)に符合する浸出水処理と最終処分場における安定化の考え方など、施設見学で得られた知見をさらに深める意見交換がされていました。

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○群桐エコロ株式会社(群馬県太田市新田大町)

会社案内DVD視聴による施設の概要説明後、各施設を見学しました。廃油リサイクル施設は約30年前から続いている事業で、エンジンオイルなどの廃油を受け入れ、遠心分離で油を精製し水分除去などを行うことで再生重油(燃料油)を製造していました。再生重油は約1,500トン/月を生産していて、次に述べる焼却溶融炉の燃料として自家消費するほか、月に数百トンを必要とする大手製造業に対しても販売も行っているとのことでした。焼却溶融炉では、太田市の一般廃棄物焼却灰や産業廃棄物などを原料に溶融スラグを製造していました。廃棄物は約1,100~1,300℃という高温でロータリーキルン内において撹拌されながら、焼却、溶融します。高温であるため、ダイオキシンはほとんど発生しないとのこと。溶融炉の後段のボイラでは熱回収して蒸気タービン発電を行っており、1,000kWの電力を生み出し、施設内で利用されています。溶融スラグからは、水砕された後に金属除去プロセスや粉砕・粒度調整、1週間から10日程度のエージング工程を経て人工砂が製造されています。人工砂は植え込みなどに敷設する防草材などに利用でき、地元自治体で利用されているほか、外販されています。低濃度PCB処理施設は、環境大臣の認定を受けた無害化処理施設となっており、絶縁油など低濃度PCB含有廃棄物の処理を全国から受け入れています。今回は時間の都合で処理施設を間近で見ることはできませんでしたが、PCB専用の処理炉を2基持っており、42t/日の処理能力があるとのことでした。また、自社内の分析室において原料の性状確認と、製品の品質検査も行っています。施設内の資源有効利用と省エネに努めていることが印象的でした。

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なお、本施設見学会の定員は当初35名に設定しておりましたが、募集からわずか2日で定員に達したため、急遽見学先のご理解を得て、定員を増やして対応しました。施設見学会への注目度の高さを改めて感じました。

最後に見学を受け入れてくださりました「めいわエコパーク」と「群桐エコロ株式会社」の皆様には厚く御礼申し上げます。

報告担当:運営委員 小松秀和、茂木 敏