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令和2年度関東支部関東支部オンライン施設見学の開催報告
 

令和2年度関東支部関東支部オンライン施設見学の開催報告

関東支部では,毎年関東圏内の廃棄物処理施設や資源化施設の見学会を実施しておりますが,今年度は新型コロナ感染症の感染拡大防止のため,新たな試みとしてオンラインでの施設見学を2020年11月19日(木)に実施しました。山梨県笛吹市にある最終処分場「かいのくにエコパーク」と,神奈川県平塚市の焼却施設である「平塚市環境事業センター」の2施設をオンラインでつなぎ,“ZoomミーティングからYouTubeライブ配信”の形式でライブ中継や質疑応答等を行いました。YouTubeでは最大で147名の方に視聴いただきました。

かいのくにエコパーク(山梨県笛吹市境川町寺尾地内)

「かいのくにエコパーク」では,山梨県環境整備事業団所長の志村様より施設の目的と概要をお話いただいた後,DVDによる施設紹介とスライドを用いた補足説明,最後に質疑応答を行いました。

この一般廃棄物最終処分場は,2018年12月に運営開始され,山梨県内全域の焼却灰などを広域的に受け入れています。建設工事受注者が施設の設計・施工に加え,長期継続的な運営・維持管理を行う特徴的な運営体制となっています。

この処分場は,もともと小さな沢が流れていた地形に作られた,谷沢型の管理型(オープン型)の一般廃棄物最終処分場で,埋立品目は焼却残さ(焼却灰,飛灰)と不燃性残さで,埋立容量は約36.7万トン,埋立期間は約20年となっています。漏水検知システムは,漏えい電流式漏水検知システムを採用しています。埋立車両の進入路は2本あり,メリットとしては搬入車両が複数台続いても離合する必要がないことや,進入路下部で埋立作業をしていてももう1本の進入路を活用できることで,安定した操業を確保しています。浸出水処理施設は,処理能力120m3/日でアルカリ凝集沈殿法によりカルシウム除去を行って処理水は下水道放流しています。処理水は常時監視され,水質異常時は緊急遮断弁を稼働して下水道への放流を停止するシステムとなっています。

モニタリングについては,上流・埋立地下流・敷地最下流の3か所のモニタリング井戸から採水し,水質を比較することで,周辺環境に処分場の影響が無いかを確認しています。また,処分場事業によって影響を受けた動植物環境を復元したビオトープを設置し,定期的に管理されています。一般廃棄物最終処分場としては珍しく,施設内には見学者用の学習施設があり,会議室や展示室が具備され最終処分場だけでなく,パネルやクイズなどを通じて廃棄物処理全般の学習ができるようになっています。

質疑応答では,埋立終了後の跡地利用に関する内容や,周辺住民・周辺環境との関係,豪雨や強風時の埋立管理に関する内容など,熱心にやりとりされました。

施設の説明

質疑応答

平塚市環境事業センター(神奈川県平塚市大神3230)

一般廃棄物焼却施設である「平塚市環境事業センター」では,強風の屋外からの中継にはじまり施設紹介ビデオのあと,平塚市から運営を受託しているSPCの若林所長の案内で実際に見学通路を移動しながらリポート形式でご説明いただいたあと,最後に平塚市の太田様も参加しての全体の質疑応答という流れで行われました。

本施設は建設と20年間の運営を含めた公設民営のDBO方式で発注され,2013年9月末に竣工しています。運営に際しては第三者で構成される委員会を毎年開催し評価を受ける体制がとられています。この取り組みを「ひらつかモデル」と呼び,施設の性能だけでなく,災害時の市との連携や環境教育などの分野でも積極的に改善に取り組む運営となっています。

本センターの焼却炉は最大315トン/日(105トン/日×3炉)の旋回流型流動床式焼却炉で,不燃物と飛灰は外部施設で溶融スラグとなり有効利用することで,埋立ゼロをコンセプトとされています。本センターには,平塚市内の一般家庭可燃ごみ,事業系可燃ごみ,破砕施設からの可燃破砕ごみ,し渣汚泥,一般の持込みのほか,近年広域化が進んでおり,大磯町や二宮町のごみや,一時的に藤沢市の破砕可燃ごみも搬入されています。コロナ禍によるごみ量の変化はそれほどないそうですが,5月に一般持込みを中断し6月に再開した時には持込みごみが一時的に増加し,これは自宅待機や在宅勤務により家庭ごみの増加や片付けごみの増加と考えられています。また,最近問題となっているリチウムイオン電池に起因する火災事故は,不燃ごみを処理する破砕施設では問題となっていますが,可燃ごみを受け入れる本センターでは分別が徹底されているため発生していないとのことでした。また,最大の発電能力は5,900kWですが,見学会時は2炉運転(1炉休止)のため約4,200kWの発電量となっており,所内消費電力約1,300kWを差し引いた電力を売電されていました。

質疑応答では,DBO方式採用の背景や役割分担をはじめとした運営体制から,大雨などの災害対応,ごみ質に関する内容など,活発な質疑応答が行われました。

施設の説明

質疑応答

さいごに

本オンライン施設見学会は,当初Zoom Meetingでの開催を想定しておりましたが,募集から2日目に100名を超え,ZoomをYouTubeライブ配信するという初めての形式で対応しました。最終的には180名を超える申込み(※YouTube147+zoom21名の参加)となり,運営サイドではプレッシャーを感じつつも,オンラインながら施設見学への関心の高さを改めて感じました。

最後に,オンライン中継という慣れない取組みにもかかわらず,リハーサルも含めて2度もご協力くださいました「かいのくにエコパーク」と「平塚市環境事業センター」の関係者の皆様には厚く御礼申し上げます。

 

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