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令和7年度関東支部施設見学会(埼玉県内施設)の開催報告
 

令和7年度関東支部施設見学会(埼玉県内施設)の開催報告

関東支部では、2025年10月30日(木)に、「令和7年度関東支部施設見学会」を開催しました。今年度は、環境教育活動にも熱心に取り組まれている「石坂産業株式会社」、都市ごみ焼却・リサイクル施設である「所沢市東部クリーンセンター」および新設の被覆型最終処分場である「所沢市第2一般廃棄物最終処分場」の施設見学を行いました。参加者(55名)には東所沢駅前に集合していただき、大型バスに搭乗して各施設を回り、最後は新座駅で解散となりました。

○⽯坂産業(株)(埼⽟県⼊間郡三芳町)

石坂産業は、建設系産業廃棄物の中間処理を主力としながら、減量化・再資源化率98%という業界トップクラスの成果を誇る企業です。「Zero Waste Design」という理念のもと、「ごみをごみにしない社会」の実現を目指し、環境・地域・人との共生・連携を推進しています。売上の9割以上は産業廃棄物の中間処理であり、土砂混じりの廃材に特化した分別技術が強みです。再生土「NS-10」は道路の埋め戻し材の他、化粧品店の棚の素材に採用され、藻場への活用など価値を高めることに取り組んでいます。

創業は1967年。初代社長が東京湾に埋め立てられている廃棄物に違和感をもったことがきっかけとのことです。1999年に所沢産ホウレンソウより高濃度ダイオキシン類が検出されたという誤報道により、地域の農家が風評被害を受けたことから、当時ダイオキシン対策に適合した焼却炉を導入していたにもかかわらず、同社への排斥運動が高まりました。この危機に社長に就任した石坂典子氏は、4割の社員が退職する中、3S(整理・整頓・清掃)活動の徹底、全天候型のプラントに刷新するとともに焼却事業から撤退し、工場見学を受け入れ、社員教育を強化して経営を立て直されました。また、敷地外の雑木林に1万トンもあった不法投棄物を撤去して里山に再生し、サスティナブルフィールドとして市民に開放しています。現在は日本生態系協会のJHEP認証で最高ランク「AAA」を取得しています。

当日は、5階研修室で概要説明を受けたのち、4班に分かれて見学者をご案内いただきました。地域の信頼を得るために整備された見学者コースを移動し、機械メンテナンス工場に始まり、随所に設置された啓発パネルと壁面緑化等を見ながら、電動化した重機が稼働するコンクリート廃材受入ヤードや、キビキビと作業に取り組む手選別ラインなどを見学しました。見学通路はGreen Actionストリートと名付けられ、著名人を含む見学者のメッセージが随所に記載されています。道中にはリチウムイオン電池等混ぜてはいけないものの展示や、実物の蛇口の素材分けによる再資源化の難しさを訴える展示、環境配慮設計の大切さを伝える掲示物などが配置されていました。その後、遊歩道や木材チップヤード、大型電気集塵機、サスティナブルフィールドを見学して研修室に戻りました。丁寧な質疑応答の後は、オーガニックファームの食材を使用したお弁当を味わいつつ、名刺交換会を実施していただきました。

 
現地写真(左:見学時の様子、右:サスティナブルフィールド)

○所沢市東部クリーンセンター(埼玉県所沢市)

所沢市は市内に2か所のごみ焼却施設を持ちますが、今回訪問した所沢市東部クリーンセンターは、ごみ焼却施設230t/日(ストーカ式115t/日×2炉)とリサイクルプラザ(不燃・粗大43t/5h、資源ごみ30t/5h、プラスチック類15/t/h計88t/5h)を一体化した施設で、平成15年3月竣工しました。本施設の新設計画時はダイオキシン類問題がクローズアップされていたことから、厳しい排ガス自主規制値を設定し、それを遵守するための排ガス処理設備として「ろ過式集じん機」「活性炭吸着塔」「湿式洗煙装置」「触媒反応塔」を設け、万全の態勢を整えています。

ごみ焼却施設は平成29年12月~令和3年3月に延命化工事を実施し、各種改良により発電量の向上と消費電力の削減を図り、延命化工事前より60%近くのCO2削減を達成しています。また、延命化工事において灰溶融炉の運用を停止したため、焼却灰と飛灰の一部は民間事業者へ引き渡される予定で、来年度は質量ベースで主灰発生量の2割弱、飛灰発生量の5割強をセメント原料等として再資源化する計画です。資源化されない残さ(リサイクルプラザで発生する不燃ごみ残さ、資源ごみ残さを含む)は最終処分場で埋立処分されます。

リサイクルプラザでは鉄、アルミ、カレット、容器包装プラスチックを資源化し、処理に際して発生した可燃物はごみ焼却施設で焼却処理されています。また単一素材プラスチックを拠点回収して直接再資源化業者に引き渡すとともに、それ以外の製品プラスチックは破砕ごみとしてリサイクルプラザで処理しています。

施設周辺にはオオタカの営巣が確認されており、リサイクル土壌を使用した大規模な屋上緑化により、周辺環境との調和を図っています。

当日は、本来なら停止期間中であるところ、本見学会に合わせて稼働調整を行いご対応いただきました。管理棟2階研修室で施設紹介ビデオを視聴したのち、2班に分かれてご案内いただきました。見学者コースにはごみ焼却施設とリサイクルプラザの境界に設けられた吹き抜けスロープが配置されており、最上階の6階展望フロアから2階までを一気に降りられるようにしている点が特徴的でした。スロープの途中のあちこちに、ごみ焼却施設やリサイクルプラザの設備をガラス越しに見学できるスポットが設けられていました。見学終了後は研修室に戻り、質疑応答を行いました。

 
現地写真(左:研修室でのご説明の様子、右:最上階展望フロアへ通じる見学者スロープ)

〇所沢市第2一般廃棄物最終処分場~やなせみどりの丘~(埼玉県所沢市)

「所沢市第2一般廃棄物最終処分場」は、本見学会の開催日の約1週間前に埋立開始された新しい処分場です。所沢市(人口約34万人)から排出される年間約9万トンのごみが東部・西部の両クリーンセンターで処理された後、リサイクルできない残渣や焼却灰が埋め立てられています。施設の敷地面積は約5ha、埋立容量は約13万1000m³です。廃棄物の埋立地は屋根と壁で覆われたクローズド型施設で、埋立地、管理棟、浸出水処理施設で構成されています。周辺には、生物多様性体験広場、わんぱく広場、多目的広場の3つのテーマ施設も整備されています。埋立地は深さ約10mの強固な貯留構造物で、屋根・外壁により震度7程度の地震にも耐えられる設計です。建屋で覆うことで灰の飛散、臭気の拡散、騒音を抑制しています。浸出水は、アルカリ凝集沈殿処理、ろ過処理、汚泥処理設備で構成された浸出水処理施設により、所沢市の下水排除基準を満たした水質に処理した後、下水道へ放流されます。

施設の特徴として、二重遮水シートによる遮水構造と、万一シートが損傷した際に位置を特定できる漏水検知システムがあります。さらに、埋立地内の屋根を支える柱や壁面には、廃棄物の安定化促進のための散水用スプリンクラーと、作業環境を確保する送気管が設置されています。被覆施設により廃棄物の飛散や臭気拡散を防止できるため、即日覆土は行わず、廃棄物埋立て3mごとに50cmの中間覆土のみを実施します。施設の運用期間は令和7年の完成から15年間を予定されており、埋立対象物の内訳は、焼却残渣が約5割、不燃残渣が約2割、資源ごみ残渣が約2割、残りが覆土の予定です。

見学会では、埋立地の被覆施設内に設置された見学スペースから埋立状況を観察し、VRシステムによる場内の仮想探検も体験しました。遮水構造や漏水検知システム、ガス抜き管などの設備について説明を受けた後、施設内の生物多様性体験広場、わんぱく広場、多目的広場を散策しました。生物多様性体験広場には関東圏内で選定、調達した植物が植栽され、せせらぎや小道を備え、子供たちが自然と触れ合いながら学べる環境が整っています。ターザンロープなどの遊具や緩やかな芝生斜面もあり、幅広い年齢層が利用できる地域住民の憩いの場となっています。

これまで市内小学生の社会科見学は清掃工場が中心であり、最終処分場は訪問機会が少なかったとのことです。今後は、見学者向けに配慮された本施設を子供たちが訪れ、廃棄物処理の最終段階について理解を深めることが期待されます。

 
現地写真(左:見学スペースから埋立状況を観察、右:敷地内広場から見た埋立地被覆施設)

○さいごに

本施設見学会は、昼食込みの1日コースを計画しましたが、55名もの多くの方々にご参加いただきました。昼食には石坂産業株式会社のオーガニックファームの食材を使用したお弁当を手配し、午後の2施設も含めて一体感と見応えのある見学内容となりました。一方で、昼食代を含むことで参加費が例年より高くなったことも事実であり、今後も参加しやすさと見学内容の充実さのバランスが取れた見学内容を検討していくことが求められます。

最後に、見学を受け入れてくださった「石坂産業株式会社」、「所沢市東部クリーンセンター」および「所沢市第2一般廃棄物最終処分場」の関係者の皆様に厚く御礼申し上げます。

報告担当:運営委員 若松秀樹、中島義斉、小竹茂夫

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