平成25年度廃棄物資源循環学会九州支部・市民フォーラム 報告
1.主催者挨拶 廃棄物資源循環学会九州支部 理事 柳瀬龍二
市民フォーラムの開会にあたり、今回は市民のごみリサイクルへの意識が高まってきた中での今年4月に施行された小型家電のリサイクルについてであり、問題点や課題などみなさんと一緒に勉強しながらいろんな意見を出し合って活発な議論を期待するとして、開会の挨拶とされた。
2.共催挨拶 3R・低炭素社会検定実行委員会 鈴木慎也
3R・低炭素社会検定は、2009年1月から始まり、今年で4回目となる。ただ活動するだけでなくできるだけ専門知識を持って適正に3Rを実行しながら、地球温暖化防止についても考えていくことで地域に根ざした取り組みを行うため、検定合格者のミーティングとさせていただき、共催をお願いしたとして、挨拶された。
3.話題提供要旨
(1)話題提供1 環境省九州地方環境事務所福岡事務所 森寄幸
平成25年4月に施行された「使用済小型電子機器等の再資源化の促進に関する法律」(小型家電リサイクル法)について説明いただいた。
はじめに、環境省が作成した小型家電リサイクル法のDVDの上映があり、概要をわかりやすく解説。毎年、我が国全体で27.9万トン(844億円分)の有用金属を含む小型家電が廃棄され、埋め立てられているということであり、これらの小型家電をリサイクルし、貴金属、レアメタルその他の有用なものを回収し、再資源化を促進し、これにより、貴重な資源の確保が図られ、さらには有害物質の流出の防止や最終処分場の延命化にも貢献していくものである。対象品目は、家電リサイクル法の対象となるテレビ、エアコン、冷蔵庫、洗濯機等の家電4品目以外のほぼ全ての家庭用電化製品(充電器やケーブル等付属品も含む)が該当する。回収方法は、公共施設や商業施設等に小型家電専用の回収ボックスを常設するなど、各自治体により様々であり、回収の準備が整った自治体から順次スタートするとのこと。
また、最近、不用品回収業者が違法な回収をしているケースがあり、行政の指導や取締まりを実施している状況であるということから、消費者が安心して小型家電を排出できるように場所や事業者に小型家電再資源化マークを表示することで見分けられるようにしているとのことであった。
(2)話題提供2 福岡市環境局循環型社会推進部 北島保彦
福岡市は、平成25年5月に150万人を突破し、全国で6番目の大都市となり、より一層環境問題に取り組んでいくと報告があり、福岡市における循環型社会の構築と小型家電回収の取り組みについて説明いただいた。
福岡市では平成23年12月に「新循環のまち・ふくおか基本計画」を策定し、処理の優先順位に基づく適正処理の推進によって循環型社会の構築を進めており、リデュースは、生ごみの水切りやマイバック持参など、リユースは、リユース品の提供促進や修理工房の活用など、リサイクルは、古紙回収やレアメタルの資源化促進など、3Rの具体的な取り組みを図っているとのことであった。また、福岡市の特徴として事業系ごみの排出量が多いことから、食品リサイクルルート構築の支援、小規模事業所の古紙回収の推進、事業者と古紙回収業者をつなげる古紙回収マッチング、紙おむつリサイクルシステム構築に向けた調査などを行っているとのこと。
福岡市の小型家電リサイクルに関する取り組みについては、平成22年度より北九州市及び民間事業者と連携し、小型家電品の回収ボックスを設置した実証実験に取り組んでいるが、これまでの回収量は少ないため、今年度は区役所や地下鉄駅等25箇所にボックスの増設を行い回収量の増加を図る考えである。
(3)話題提供3:西南学院大学 小出秀雄
小型家電のボックス回収の現状と課題について説明いただいた。
平成23年に環境省の事業採択を受けた福岡県の離島も含めた広域回収モデル事業を契機に、回収ボックスの設置で回収が可能となるのかを九州一円に足を運び、視察、ヒアリング及びアンケート調査により現状の分析を行ったとの説明をいただいた。ボックス回収率を向上させるためには、人口の多いところ、人が集まるところ、地域に根差した施設、いつでも投入できる屋外に置くなど、工夫が必要であるとのこと。
また、回収ボックスを置くだけではなかなか集まらないので、排出者から回収ボックスまでの物理的距離あるいは心理的距離をいかに縮めるかが重要であり、この一例として、首都圏の家電量販店で2ヶ月間限定の窓口回収を行っており、小型家電を持ってくると懸賞応募用のはがきを渡すというインセンティブを付加した事例では、多様な小型家電が持ち込まれたようだとの報告があった。
4.会場からの意見及び自由討論要旨
意見交換では、法律が施行されて間もないこともあり、小型家電の回収方法やリサイクルシステムの仕組みについての自治体に対する質問が多く、市民の関心の高さが伺えた中で、以下のような意見が出され活発な議論が行われました。
・有用金属の累積需要は地球の埋蔵量よりもはるかに高く、近年の鉱物品位の低下もあり、小型家電回収の取り組みは重要であり、早急に対応するべきである。
・小型家電は、資源であると同時に有害物質も含有しているので、回収場所と同じくらいに保管場所についても検討が必要になるのでは?
・メーカー、小売店が小型家電リサイクル法にどう取り組むのかということが明確になっていないのでは?実際に、小売家電販売店の店頭に回収ボックスの設置がされていない現状があり、生産者責任の観点からも明確にしていくべきと考える。
・認定事業者となり処理能力(1500t/年)の施設を稼働させ小型家電リサイクル事業を開始しているが、回収量が不十分で収益性を確保できないのが現状であり、今後は産学官民が協力し回収量の拡大に向けた取り組みを推進していきたい。
5.閉会挨拶 廃棄物資源循環学会九州支部幹事長 真次寛
一般社団法人廃棄物資源循環学会九州支部の活動として、毎年、市民フォーラムを開催しておりますが、12月には施設見学会を予定しており、百分は一見に如かずで有意義な研修となっています。また、学会等このような集まりに参加することでいろんな専門分野の先生との接触が可能であり、特に若い人には良い経験となり有効であると思いますので、廃棄物資源循環学会に興味がある人は入会をお願いしたいということでフォーラムを閉会した。
以上
報告:市民フォーラム担当幹事