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平成28年度廃棄物資源循環学会九州支部総会・講演会開催報告

平成28年度廃棄物資源循環学会九州支部総会・講演会開催報告

○日時:平成28年5月7日(土)

総 会:13:00~13:45

講演会:14:15~15:15

○会場:九州大学西新プラザ

<総会>

総会に先立ち,先の熊本災害の犠牲者に対して黙祷を行った。

まず,事務局より総会の定足数57名に対し,77名(出席者:38名,委任状:39名)の出席があり,総会が成立していることが報告された。次いで,議事に先立ち,田中副支部長が議長に選任され,議事録署名人として,議長の他に二渡理事,及び吉田監事が指名された。

議事に入り,1号議案「平成27年度事業報告」,2号議案「平成27年度収支決算」について,事務局及び担当幹事から報告があり,続いて2号議案の「監査報告」が,吉田監事からなされた。特に意見,質問はなく拍手による全会一致で承認された。次に3号議案「平成28年度事業計画(案)」,4号議案「平成28年度収支予算(案)」について事務局及び担当幹事から提案がなされ,質疑応答ののち,拍手による全会一致で承認された。さらに,5号議案「支部規程の変更について」及び6号議案「理事・監事の改選について」事務局から提案がなされ,拍手による全会一致で承認された。最後に報告事項「評議員の追加について」報告がなされ,閉会した。

<講演会>

・講師:小山内 康人 教授(九州大学 大学院比較社会文化研究院長/大学院地球社会統合学府長

/アジア埋蔵文化財研究センター長)

・演題:南極観測からみた地球環境変動

・講演内容

今年11月からの第58次南極観測隊の夏隊隊長に就任された小山内先生をお迎えし,南極観測の歴史,観測隊の活動,観測を通してわかってきた南極大陸の自然,地質,大陸プレートの変動の他,基地での廃棄物処理について講演いただいた。

南極大陸はその形からカブトガニに例えられ,南極横断山脈を境に頭側を東南極,尻尾側を西南極と呼ぶがその地質状況は全く異なる。西南極は火山が多く,5億年前よりも新しい地質帯が主要な地質であるのに対し,東南極は火山が全くなく,5億年前よりも古い地質がほとんどであることから,南極大陸は西南極と東南極が衝突し,衝突境界の盛り上がりが南極横断山脈となっていることを示している。また,昭和基地周辺のルビーやサファイアの性質はスリランカ産のものと類似していることから,昭和基地周辺はスリランカと隣接していたものと思われる。

南極は地球の環境変動について観察ができる場所であり,1982年に日本の南極観測隊が昭和基地上空で発見し,世界各国が調査・研究している「オゾンホール」は,フッ素の問題等地球全体規模で環境保護を含めて議論し取り組み,近年減少傾向にあったように見えていたが,残念ながら昨年より拡大しているようである。

また,日本の観測基地のひとつの「ドームふじ」では氷床ボーリングを行い,地球の年間平均気温と非常に相関性がある酸素同位体組成を調べることで過去の気候変動についての調査を行っており,現在の地球は間氷期にあたっている。

世界が連携し南極観測を行った年(国際地球観測年)から今年で60年,来年は第1次隊の昭和基地設立から60年にあたる。この節目の年に隊長として参加する第58次観測隊は,第9期の6カ年計画の初年度に当たり「南極から迫る地球システム変動」を主要テーマに3つのサブテーマを設けて活動を行う。

一方,基地での活動に伴い梱包材や生活ごみ等様々なごみが発生するが,その処理にあたっては,1998年に施行の「環境保護に関する南極条約議定書」(国際法)と「南極地域の環境の保護に関する法律」(国内法)に沿って実施するものとし,日本の南極観測では「原則としてすべての廃棄物は国内に持ち帰り処理する」,「小さな可燃物は焼却炉で焼却処理し,発生した灰は持ち帰る」,「生ごみは生ごみ処理機で減容処理し,発生した炭は持ち帰るか焼却処理する」,「汚水は汚水処理装置で浄化後,海に放流する」を廃棄物の処理方針を掲げて活動しているとの説明があった。

なお,議定書の中には“廃棄物の南極域からの排除”がうたわれており,第30次隊以前の埋め立てごみや過去の観測で使用した古い雪上車や建物等の残置廃棄物についても将来持ち帰る必要が生じており,今年の4月13日に南極から帰ってきた「しらせ」の船倉には,古くなった雪上車数台,その他の大型廃棄物が大量に積み込まれて帰港している。

かつての持ち帰りの廃棄物量は数十t程度であったが,第39次隊以降増加し,第46次からの4年間は「昭和基地クリーンアップ作戦」が展開され毎年200t以上の廃棄物を持ち帰り,それ以降も200t前後の廃棄物を持ち帰っている。

南極には様々な分野の人が大勢行くが,まずは,観測隊員としての意識を変革するところから始める必要があると考える。南極では持ち込んだものを,「分別」,「集積」,「持ち帰る」というところまでがすべての観測隊の仕事であると考えている。

南極観測隊員への提言

「自分たちが南極へ持ち込んだものは,必ず誰かが持ち帰らなければならないことを忘れない。

南極の環境に悪影響を与えないためには隊員のみなさんの努力と協力が必要。」

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