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2019.9.19 第30回廃棄物資源循環学会研究発表会 災害廃棄物研究部会企画セッション開催報告

2019.9.19 第30回廃棄物資源循環学会研究発表会 災害廃棄物研究部会企画セッション開催報告

テーマ:災害廃棄物発生量の推計に関する最新事情と課題

開催報告

2019年9月19日に第30回廃棄物資源循環学会研究発表会(東北大学)において、災害廃棄物研究部会企画セッション「災害廃棄物発生量の推計に関する最新事情と課題」を開催しました。約50名の参加がありました。

プログラム

司会進行: 神保 有亮(国立環境研究所客員研究員)

代表挨拶: 浅利 美鈴(京都大学)

セッションの主旨説明: 多島 良(国立環境研究所)

1. 「津波の被害予測と瓦礫量の推定」越村 俊一(東北大学災害科学国際研究所教授)

2. 「災害廃棄物発生量の推計精度向上のための方策検討」眞鍋 和俊(応用地質株式会社)

3. 「富山県における災害廃棄物発生量の推計について」水田 圭一(富山県環境科学センター)

4. 全体質疑

概要

講演1:津波の被害予測と瓦礫量の推定 越村俊一(東北大学災害科学国際研究所教授)

地震発生時の津波による被害について、断層破壊から浸水予測をリアルタイムでシミュレーションを行う研究に取り組んでおり、これにより初動期の支援体制構築に寄与することが期待できる。システムは実用化されており、津波浸水予測と津波被害関数を用いて建物被害の空間分布を量的に推定するシステムにより発災後30分以内に内閣府へ報告することとなっている。また、リモートセンシング(航空写真、衛星画像等)による被害の空間分布の把握手法について報告され、光学画像による面的な把握にLiDARを重ねることで、がれき体積・量について把握し、支援ニーズを推定することができること等が発表された。

講演2:災害廃棄物発生量の推計精度向上のための方策検討 眞鍋和俊(応用地質株式会社)

被災家屋のモデル解体や過去の実績調査からデータを積み上げて発生量推計の精度向上に取り組んでおり、建物構造別床面積の原単位とハザード別に建物以外の発生原単位を得た。発生量推計は、災害の規模に合わせて処理体制を構築し、生活環境保全上の支障を最小限として効率的・経済的に処理を行うことに寄与することが説明された。

講演3:富山県における災害廃棄物発生量の推計について 水田圭一(富山県環境科学センター)

GISを用いて災害廃棄物発生量推計を地震、津波、水害ごとに行った。また、GISのネットワーク解析機能を利用して、焼却施設の処理余力によって処理可能エリアが変わることを確認することができ、自治体の意思決定に活用できることがわかった。発生原単位と組成について、20件の木造家屋解体工事に立ち会って調査を行い、発生原単位は114.8トン/棟、組成は可燃物23%、不燃物77%であり、国の推計結果と概ね一致していたが、調査方法が同一でない等の課題があることから、調査方法を含めた検討を継続していく旨が説明された。

最新の研究成果から現場でどのように生かされるかを考えることができ、多くの課題とヒントが得られた。

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