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2022.9.22 第33回 廃棄物資源循環学会研究発表会(宮崎大学、ハイブリッド開催) 災害廃棄物研究部会企画セッション開催報告

2022.9.22 第33回 廃棄物資源循環学会研究発表会(宮崎大学、ハイブリッド開催) 災害廃棄物研究部会企画セッション開催報告

開催報告

令和4年9月22日に第33回 廃棄物資源循環学会研究発表会(宮崎大学、ハイブリッド開催)において、災害廃棄物研究部会企画セッション「~災害廃棄物研究部会の「これまで」と「これから」~」を開催いたしました。

プログラム

【話題提供】

1. 学会内での知見共有やネットワーク形成のための取り組み  森朋子(国士舘大学)(当日資料)

2. 様々なステークホルダーとの連携  鈴木慎也(福岡大学)(当日資料)

3. 災害時における現地支援の活動事例と体制の検討  多島良(国立環境研究所)(当日資料)

4. 国際支援事業への参画  東信太郎(NTTデータ経営研究所)(当日資料)

5. コミュニケーションの活性化に向けた情報管理の取り組み  神保有亮(災害廃棄物研究部会員)(当日資料)

6. 会場との意見交換

7. 部会への入会案内

概要

災害廃棄物研究部会は学会内部での知見共有やネットワーキングのための取り組みを進めるとともに、他学会や災害廃棄物に関わるステークホルダーとの連携体制を構築してきた。さらに、国内で発生した災害現場の支援活動も平行して実施してきた。本企画セッションでは、当研究部会が発足からこの5年間で取り組んできた「これまで」の様々な活動を総括した5件の発表があった。その後、今後の発展に向けた「これから」の展開について意見交換会を実施した。参加者は、会場参加が20名,オンライン参加が22名であった。

先ず、森朋子氏(国士舘大学)から、大学や研究機関に所属する学会員を対象とした災害廃棄物支援に携われる学会員のポテンシャル調査、支部での交流セミナー、企画セッションの開催実績が報告された。災害廃棄物支援に携われる学会員は地域差があること、災害対応を巡る国内体制が大きく変わりつつある中で学会として対応を検討する必要があることが指摘された。

鈴木慎也氏(福岡大学)から、部会員による環境省や自治体等への支援、防災学術連携体との連携による報告会等の実施、研究活動の実績が報告された。国・自治体への支援は一定の成果を挙げており、これからは住民参加の促進や情報交換、連携の強化等、現場・当事者に寄り添う支援が必要であること、災害廃棄物発生量の推計等の研究活動を活性化させる必要があることが指摘された。

多島良氏((国研)国立環境研究所)から、遠隔会議システムを用いた災害対応支援の実績、学会による災害対応のマニュアル化の検討状況が報告された。マニュアル化においては、災害対応を実施する対象となる災害の規模が明確でない等の課題があり、学会による対応方針の整理が必要であること、部会を超えた学会内での災害対応に関する議論が必要であること等が指摘された。

東信太郎氏(NTTデータ経営研究所)から、アジア・太平洋地域における災害廃棄物管理ガイドラインの策定への貢献、災害廃棄物に関する人的ネットワークの整理、アジア・太平洋地域(インドネシア、ネパール等)における災害廃棄物処理計画等の策定支援の実績が報告された。

神保有亮氏(災害廃棄物研究部会員)から、学会ホームページにおける活動報告等の情報発信、災害廃棄物管理ガイドブック出版の実績が報告された。平時や災害時における部会員内での情報発信・情報管理としてグループウェア等の活用が検討課題となっていることが報告された。

意見交換会では、①学会内の研究部会間で連携を深めていくことの必要性、②学会の現地支援のあり方を探るために、環境省や自治体等が学会に何を求めているのかを調査することの必要性、③日本で大規模災害が起きた場合の、海外からの災害廃棄物支援の方向性、④自治体の仮置場の設置場所等に関する部会内での情報共有プロセス、に関する議論があった。①については、単発的な部会連携に留まっており、継続的なものにしていく必要があることが述べられた。②については、これまでの災害経験から、自治体や環境省は技術的課題に関する経験や知見を蓄積しており、我々が出る幕が少なくなってきていること、政策立案支援で考えると、災害事例の教訓を如何に一般化していかという議論が我々の役割になってくることが述べられた。③については、海外の国々の学術関係者や自治体関係者に、日本の災害廃棄物処理は分別をしっかりやっていることを教えることが、国際協力に繋がることが述べられた。④については、現状では個々の自治体の情報発信に頼るしかないこと、ISUT(災害時情報集約支援チーム)のような情報集約サイトを学会として利用できるかを議論する必要があることが述べられた。

本研究発表会は奇しくも、発表会直前に台風14号の接近に伴い大雨特別警報が発表された宮崎県で開催された。宮崎県内では浸水や土砂崩れ等の被害が発生し、改めて防災・減災を考えさせられる機会となった。災害廃棄物対策は防災・減災の要であり、当研究部会としても貢献していくべく、部会員を募集しているところである。

報告の様子(鈴木慎也氏)

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