(新企画3)4.写真で見る工場見学 ①富士市新環境クリーンセンター(焼却施設)
富士市新環境クリーンセンターは、どのような施設なのでしょうか?
施設の概要を見てみましょう。
■施設の名前
富士市新環境クリーンセンター
■施設がある場所
静岡県富士市大淵676番地
■処理できるごみの量(可燃ごみ)
125トン/炉×2炉 250トン/日
■施設の全景
富士市新環境クリーンセンターは、富士山の南側のふもとにあります。
天気の良い日は、施設の5階にある展望デッキから富士山や駿河湾を眺めることができます。
▲ドローンで撮影をした富士市新環境クリーンセンター
富士市新環境クリーンセンターでは、つぎの図のように可燃ごみを処理しています。
【ごみ処理の流れ】(クリック)
皆さんのおうちから出たごみを集めて、燃やして処理をする流れはつぎのとおりです。
【電気・お湯をつくる流れ】(クリック)
ごみを燃やしたときに出る熱を有効に利用して蒸気を作り、蒸気の力で電気を作っています。電気やお湯を作る流れはつぎのとおりです。
作った電気は施設内で利用するほか、余った分は売却しています。
また、施設内にはお風呂があります。電気を作ったあとの蒸気を利用して、お風呂のお湯も作っています。お風呂のお湯は熱交換器という機械を利用して地下水を温めています。
【排ガスをきれいにする流れ】(クリック)
ごみを燃やすときには、排ガスが発生します。
排ガスには有害な物質が含まれているため、きれいにする必要があります。
きれいにするための機械は、バグフィルタと触媒反応塔と言います。
きれいになった排ガスは煙突から外に出されます。
排ガスがきれいになったかどうか、中央制御室で常に確認をしています。
処理の流れにしたがって、写真で工場を見学してみましょう!
1.プラットホーム(クリック)
▲ごみを投入するごみ収集車
■ごみ収集車が家庭から排出されたごみを集めて運んでくる場所です。
■運んできたごみを投入扉からごみピットに投入する場所です。
プラットホームには、つぎの機械が設置されています。
■ごみ投入扉
ごみを投入する扉です。ごみ収集車が近づくと自動で開きます。
■シートシャッター・エアカーテン
プラットホームには、シートシャッターとエアカーテンの2つの扉があり、ごみの臭いが施設の外に出ないようにしています。
エアカーテンは空気の流れで壁をつくり臭いをさえぎることができます。
■可燃性粗大ごみ破砕機
木製の家具等、燃える大きいごみを細かくする機械です。
■信号灯
ごみ投入扉の上についています。信号が青のときにごみを投入できます。
■ダンピングボックス
一般の人が持ち込んだごみを置く機械です。
■車の落下防止
ごみ収集車が、ごみを投入するときに扉の向こう側に落ちないように段差が作られています。
【数字で見てみましょう!】
■1日に集まってくるごみの量
可燃ごみの収集が多い日は、300トン以上のごみが集まる日もあります。
よくある質問とこたえです。一緒に答えを考えてみましょう!
Q1
1日に何トンくらいのごみが集まってくるの?
A1
300トン以上(多い日)
集まってくるごみの量は、収集がある日や収集する地域によって異なるため日によって違います。こちらでは多い日には300トン以上のごみが集まってきます。
ごみを集めるごみ収集車は、何回も施設と集まる地域を往復してごみを集めてきます。
Q1
プラットホームの中は臭いの?
A1
臭くないように工夫されています。
プラットホームの中には、ごみをためておくためのごみピットとつながる扉があります。
ごみピットの中はとても臭いです。
ごみピットの中の臭い空気がプラットホームに出てこないように、つぎのとおり工夫されています。
・ごみピットの中の臭い空気を吸い取って、ごみを燃やすときの空気として利用しています。
・臭い空気を吸い取ることでごみピットの中の気圧が下がり、扉を開けても臭い空気が外に出にくくなります。これを負圧管理と言います。
・また、プラットホームのごみ収集車の出入口にはシートシャッターとエアカーテン(空気の流れで壁をつくる)が設置されており、プラットホームの中の空気が建物の外に出にくいようになっています。
2.ごみピット(クリック)
▲富士市内のごみをためておくごみピット
■ごみ収集車によって集められてきたごみを受け入れます。
■受け入れたごみを溜めて混ぜます。これを撹拌と言います。
■よく混ぜて燃やせる状態になったごみを焼却炉に投入します。
■ごみクレーン
ごみを移動させたり、混ぜたりする機械です。
■ごみホッパ
焼却炉の入口です。
■脱臭装置
焼却炉のなかはとても臭いので脱臭装置でにおいをやわらげます。
■吸引装置
臭い空気を吸い込んで、焼却炉で燃やすときの酸素として利用します。
【数字で見てみましょう!】
■ごみをためておける量
10日分のごみをためておくことができます。
点検等で焼却炉をとめることがあっても、ごみがあふれません。
■ごみピットの深さ
23メートルあります。
Q1
どんなごみが多いの?
A1
生ごみ、紙くず、ちりやほこり、汚れてしまってリサイクルできないプラスチック、リサイクルの対象になっていないプラスチック製品等が多く捨てられています。
Q2
なぜごみを混ぜるの?
A2
ごみには、生ごみ等の水分が多いごみ、紙類やプラスチックごみ等の乾燥して燃えやすいごみがあります。
水分が多いごみは燃えにくく、紙類等は燃えやすいです。
■ごみピットのなかのさまざまなごみの例
ごみをよく混ぜることでごみの状態を均一(全体的に同じ状態にすること)にして、安定的にごみを燃やせるようにしています。
焼却炉のなかで、常に同じような状態でごみが燃え続けていることは、安定的で良い状態と言えます。
Q3
未来はどんなごみが増えるの?
A3
未来のごみは、将来のわたしたちがどんな暮らし方をするかによって変わってきます。
たとえば、みんなで食べ残しを減らして食材を使い切るようにすれば、生ごみが少なくなります。また、ペットボトルをやめてマイボトルにお茶を入れて持ち歩くようにすればペットボトルが少なくなります。
どのような未来にしたいかみんなで考えて、一人ひとりができることに取り組むことが大切です。
Q4
ごみがいっぱいになってあふれてしまうことはないの?
A4
ごみピットは、毎日どのくらいのごみが出るのか、また将来はごみが増えるのか減るのか等、いろいろな条件を調べたり予想したりして大きさを決めています。
また、大きさを決めるときには、焼却炉の点検等でごみを燃やせない日があった場合についても考えて決めています。
つまり、一人ひとりがごみを減らせるように工夫や努力をすることで、ごみピットがあふれかえってしまうことはありません。
クリックするとごみクレーンがごみを混ぜているところが見れるよ!
3.焼却炉(クリック)
▲ストーカ式焼却炉
(焼却炉のなかにストーカと呼ばれる火格子がしきつめられており、ごみを送り出しながら燃やす焼却炉です)
▲ごみが燃えている様子
▲ごみを燃やしたときの熱で蒸気をつくるボイラ
【基本的な役割】
■24時間連続で、安定的にごみを燃やし続けています。
■ストーカ式の焼却炉で3段階で、灰になるまでしっかりと燃やします。
■3段階はつぎのとおりです。
①乾燥帯
ごみには生ごみ等の水分を含むごみが含まれるため、乾燥帯で水分をとばします。
②燃焼帯
乾燥させたごみをしっかりと燃やします。燃やすときの温度は850℃以上です。
③後燃焼帯
最後に灰になるまでしっかりと燃やしきります。
【焼却炉に設置されている機械】
焼却炉には、つぎの機械が設置されています。
■焼却炉
ごみを燃やす機械です。
■ボイラ
ごみを燃やすときの熱を利用して、蒸気をつくる機械です。焼却炉と一体になっており、内部には水が通るたくさんの管が通っています。
■過熱器
ボイラの一部で、蒸気の温度をさらに上げていきます。
■エコノマイザ
蒸気を作るための水を事前に温めます。熱を効率よく利用します。
【数字で見てみましょう!】
■ごみを燃やす温度
850℃以上です。
■1日に燃やすことができるごみの量
一つの焼却炉で125トン、2つの焼却炉を合わせて250トンのごみを燃やすことができます。
Q1
ストーカは何でできているのですか?
A1
ストーカは、火格子と呼ばれて焼却炉の床に敷き詰められています。
焼却炉のなかは、850℃以上になるため、ストーカは熱や摩擦に強い複数の種類の金属で作られています。
Q2
ごみを燃やすときは燃料を使っているのですか?
A2
燃料はごみを燃やしはじめるときに焼却炉の温度を上げるときに使います。
ごみを燃やしはじめるときは、焼却炉のなかの温度を高くしていきます。
温度が高くなったところにごみと空気を入れるとごみは燃えはじめます。
ごみが燃えはじめると、燃料がなくてもごみが持つエネルギーで燃え続けます。
また、点検等で焼却炉を止めるときにも、焼却炉を高温に保ちごみを燃やし尽くすために燃料を使います。
4.蒸気タービン発電機(クリック)
▲蒸気タービン発電機全景
■ボイラで作られた蒸気によってタービンを回転させて電気を作ります。
■作られた電気は施設内で使用するほか、余った分は売却します。
【蒸気タービン発電機に設置されている機械】
蒸気タービン発電機には、つぎの機械が設置されています。
■蒸気タービン
蒸気の力を受けやすいように小さい羽根がたくさんついた回転板が設置されています。
蒸気の力でタービンが回転します。
■発電機
蒸気タービンの回転する力が送られることで電気を作ります。
【数字で見てみましょう!】
■作られる電気の量
最大で6,800kWの電力を作る能力があります。
■6,800kWはどのくらいの電気の量
およそ15,000世帯分の消費電力に相当します。
Q1
なぜたくさんの電気を作ることができるの?
A1
ごみは850℃以上の高温で燃やすため、その熱を利用することでたくさんの電気をつくることができます。
熱エネルギーを効率的に利用することで高温の蒸気をつくることができ、さらに蒸気の力を使ってタービンを回転させ、回転する力を電気エネルギーに変えています。
Q2
いつも同じ量の電気が作られているの?
A2
富士市新環境クリーンセンターに設置されている蒸気タービン発電機は、最大で6,800kWの電気をつくることができる発電機です。
つくっている電気は、6,800kW以内で少しずつ変化しています。変化している理由は、ごみの内容に合わせてつくられる電気の量も変わるためです。
たとえば、生ごみのように水分が多く燃えにくいごみが多いと、つくられる電気の量は少なくなります。
家庭からごみを出すときに水切りをすると、つくられる電気の量の増加につながります。
Q1
どうやって蒸気をつくるの?
A1
蒸気は焼却炉と一体となったボイラ内でつくられます。
ボイラの内部には、水が通る管がたくさんあります。ごみを燃やしたときに出る高温の排ガスがボイラ内を通るときに、管のなかの水が温められて蒸気になります。
5.排ガス処理(クリック)
▲内部のフィルターで有害物質を取り除くバグフィルタ
▲内部の触媒で窒素酸化物を分解する触媒反応塔
【基本的な役割】
■ごみを燃やしたときに出る排ガスをきれいにします。
■排ガスはきれいになったかどうか測定をして確認してから煙突を通して外にだされます。
【排ガス処理設備に設置されている機械】
排ガス処理設備には、つぎの機械が設置されています。
■バグフィルタ
内部に設置されたろ布と呼ばれるフィルタで、ばいじん、硫黄酸化物、ダイオキシン類、水銀等を取り除きます。
■触媒反応塔
窒素酸化物を分解します。
触媒は穴がたくさん開いているハチの巣のような構造になっています。
【数字で見てみましょう!】
■バグフィルタの中に設置されたろ布の数
432本
Q1
ろ布を使ってきれいにする方法をくわしく知りたいです。
A1
ろ布はバグフィルタという大きい機械のなかに設置されている袋状の細長いフィルタです。
ごみを燃やすと排ガスが発生しますが、排ガスには有害なダストが含まれています。
このダストをろ布で取り除き、きれいなガスのみ大気中に出すしくみになっています。
6.灰処理(クリック)
▲灰ピットに集められた灰
▲灰を専用のクルマに積むためのクレーン
【基本的な役割】
■焼却炉で灰になったごみは、灰ピットに集められます。集められた灰は、再利用する工場に運ばれて建設資材等にリサイクルされます。
■バグフィルタで排ガスをきれいにするために取り除かれた灰も集められます。バグフィルタから取り除かれた灰は、「飛灰」と呼ばれます。
【灰処理設備に設置されている機械】
灰処理設備には、つぎの機械が設置されています。
■灰ピット
灰をためておく場所です。つぎの3つに分かれています。
①焼却灰(ごみを燃やし終わったあとの灰)
②飛灰(バグフィルタから取り除かれた灰)
③鉄分(灰から磁石を使った磁力選別機で取り出した鉄。再利用します)
■灰クレーン
灰は専用のクルマに積み込みますが、積み込むときは灰クレーンを使って移動させます。
Q1
灰を運ぶ車はどのような形をしているのですか?
A1
大きな荷台のあるトラックです。
荷台はふたがしまるようになっていて、走っているときに灰が飛び散ることはありません。
Q2
ごみ処理した後に出る灰はどのようになりますか?
A2
富士市新環境クリーンセンターでは、灰のリサイクルを行っています。
灰はリサイクルを行う工場に運ばれて、建設資材等に生まれ変わります。
埋め立て処理を行っているところもあります。
地域により処理方法が異なりますので、興味がある人はホームページ等で調べてみましょう。