(新企画3)3.ごみ処理施設の基本 ③最終処分場について
最終処分場は、焼却施設でごみを燃やしたあとの灰や、再利用(リユースやリサイクル等)が難しいモノを埋めて処理をする施設のことを言います。
埋めることでごみは自然に戻り安定化します。安定化とは、変化が少なく落ち着いた状態のことを言います。
最終処分場は、管理型最終処分場、遮断型最終処分場、安定型最終処分場の3種類に分けられます。
家庭から出るごみ(一般廃棄物)を埋めるのは、「管理型最終処分場」です。
一般廃棄物のほか有害なモノを含まない産業廃棄物も管理型最終処分場に埋めて処理します。
1 管理型最終処分場(一般廃棄物・産業廃棄物)
①どんなモノを埋め立てているの?
管理型最終処分場にはどのようなモノが埋め立てられているのでしょうか。
家庭から出る一般廃棄物の場合を見てみましょう。
一般廃棄物の場合は、ごみを燃やしたあとに出る灰や再利用が難しい不燃ごみ等を埋め立てています。
埋め立てるときは、廃棄物の上から土をかぶせていきながら埋めています。
灰には有害な物質も含まれるため、最終処分場にしみこんだ雨水等は、集めてきれいにしてから放流しています。
②どんなしくみになっているの?
最終処分場の底には、ゴム等の水を通さない材料でつくられたシートを敷いています。
シートをしくことで、最終処分場のうえに降ってきた雨等の水が地下にしみこんで、地下水を汚さないようにしています。このシートは遮水シートとよばれています。
もしも、シートが破れてしまった場合は、すぐにわかるように検知するシステムも設置されています。
③どのような設備があるの?
■地下水が汚れていないかどうか監視するための井戸
■しみこんだ雨水等の水を一カ所に集めてきれいにする施設
2 遮断型最終処分場(産業廃棄物)
遮断型産業廃棄物は、産業廃棄物のうち有害な廃棄物を埋め立てています。
有害なモノが周辺の土や地下水にしみこんでいかないように、コンクリートの箱のようなところに埋めています。
3 安定型最終処分場(産業廃棄物)
産業廃棄物のうち、有害なモノを含まず、長期間埋めておいても環境に悪い影響を与えるような変化がないごみを埋め立てる処分場です。
有害なモノが持ち込まれたりしないように、展開検査場と呼ばれるごみを広げて検査をするための場所があります。
最終処分場の構造(しくみ)について、家庭からのごみを燃やした灰を埋める管理型最終処分場を例にイラストで見てみましょう。
■廃棄物の埋立
埋立てる廃棄物は、家庭から出るごみを燃やしたあとの灰や鉄、アルミ等の資源になるモノを取り出したあとのくず等です。
水がしみこまないように遮水シートと呼ばれるじょうぶなシートを敷いた上に廃棄物と土を交互に埋めていきます。
■水の流れ
管理型処分場には屋根がないため、雨水等がしみこんでいきます。
廃棄物を埋めたところにしみこんだ雨水は、浸出水とよばれます。浸出水は、最終処分場の底に設置された集水管で一カ所に集められます。
一カ所に集められた浸出水は、水処理施設に送られて薬剤やフィルタ、微生物の力等を使って、有害なモノを取り除いてから川等に放流されます。
■山間部につくる
山の地形を利用して埋め立てる場所をつくります。
土壌や地下水に有害なモノが染み出さないように工事を行います。
▲山間部につくられた最終処分場の例
(岡崎市北部一般廃棄物最終処分場)
■海面につくる
海面に埋め立て施設をつくることができます。
護岸をつくり、遮水シートで外部や海に汚れがもれないようにします。
浸出水をきれいにするさまざまな方法を見てみましょう。
最終処分場に設置される浸出水処理施設では、これらを組み合わせて水をきれいにしています。
■カルシウム除去
浸出水に含まれるカルシウムの成分がかたまりになってしまい、水をきれいにする工程でじゃまになってしまうため、カルシウムを取り除きます。
薬品を入れ、カルシウムを汚泥とよばれるどろ状のかたまりにして、水槽の底に沈めることで取り除きます。
段階ごとに水槽が設置されている場合とカルシウムを除去する段階を一つの水槽で行う場合があります。
▼混和槽⇒凝集槽⇒凝集沈殿槽⇒中和槽の4つの水槽で処理する場合
▼カルシウム除去装置⇒中和槽の2つの水槽で処理する場合
■生物処理
臭いやカビの原因になる窒素や有機物(汚れ)を微生物の力で取り除く方法です。
▼BOD酸化・硝化槽⇒脱窒槽⇒再ばっ気槽で処理
■高度処理
残っている有機物や色味、細かいチリ等を取り除きます。
▼混和槽⇒凝集槽⇒凝集沈殿槽⇒中和槽⇒砂ろ過塔で処理する場合
▼混和槽⇒凝集槽⇒膜分離槽で処理する場合
▼活性炭吸着塔⇒キレート吸着塔での処理
よくある質問とこたえです。一緒に答えを考えてみましょう!
Q1
なぜ、最終処分場が必要なのですか?
A1
生活から発生したごみは、焼却施設等により中間処理(燃やしたり、細かく砕く)されますが、燃えないごみや焼却灰が処分できずに残ってしまいます。
これらのごみは適切に処理しないと自然破壊等の環境問題が発生してしまいます。
そのため、最終処分場に埋め立てて管理をしながら、環境に悪い影響がないように安定化をさせます。
Q1
どうして埋めたごみの上から土をかぶせるのですか?
A1
ごみやごみの臭いが風で周囲に飛ばされて環境に影響を与えないためです。ごみと土を交互に埋めていく方法を「サンドイッチ工法」とよんでいます。
Q2
最終処分場はいっぱいにならないのですか? また、いっぱいになったらどうするのですか?
A2
ごみを埋め続けていると、いつかはいっぱいになって使えなくなります。
いっぱいになってしまったら、別の最終処分場にごみを埋めなくてはなりません。そのため、いっぱいになる前に新しい最終処分場をつくる必要があります。
ただし、最終処分場をつくるためには長い時間とたくさんのお金が必要となるため、簡単にはつくることができません。
わたしたちは、できるだけ長く最終処分場がつかえるように、3Rに取り組む必要があります。3Rとは、リデュース(ごみを出さないようにする)、リユース(繰り返し使う)、リサイクル(再利用する)のことです。
みんなで一緒に取り組みましょう!
こちらでは、最終処分場の基本的なしくみ等を説明しています。
写真で見る最終処分場の見学と合わせてご覧ください。
1.はじめに
最終処分場は、ごみ処理体系の中において、廃棄物を自然に還元し安定化させるという役割をはたしている。また、用地に処分機能を持たせるという特色があります。
さらに、施設の設置方法や作業方法を改善することにより、土壌微生物の働きを活発化させる等して廃棄物の早期安定化を図ることが可能であり、公害が軽減したり、新しい土地造成がなされます。(跡地利用)
設置・運営については、「廃棄物および清掃に関する法律(廃棄物処理法と略される)に定められた構造基準と維持管理基準に基づいて設置・運営されています。
「最終処分場のしくみ」について記述します。
2.最終処分場のしくみ
(1)埋立構造
日本での多く採用されている廃棄物埋立方式は、準好気性埋立構造です。この方式の特色は、埋立地内に縦横に設置された排水管(浸出水液集排水管)により埋立地内部の水分(浸出水)を排除することと、埋立地内で発生したガスを大気中に逃がす管(ガス抜き管)からガスを放流し、さらに大気が自然に埋立地の中に侵入していくことの2点です。
(2)埋立地内の状況
最終処分場においては、主に酸素がない嫌気的環境下における微生物反応によって無機化が進行されます。
(3)浸出水の内部貯留
廃棄物層内において、微生物反応によって生成された代謝物は、廃棄物層に浸透した雨水に溶け込み、浸出水として処分場より排出されます。
(4)浸出水の発生
廃棄物埋立地浸出水とは、廃棄物埋立地に雨が降り、雨水がごみの層(廃棄物層)を浸透する過程で、廃棄物から色々なモノが溶け込んだ汚水のことです。
浸出水は、①埋立ごみの保有水等、②埋立地内への降雨、➂埋立地内への地下水や湧水の流入によって発生します。③は表面しゃ水工が敷設された埋立地では0であり、①は無視できるとすれば、浸出水の発生量は降雨量から求めることができます。
(5)浸出水の水質
廃棄物埋立地浸出水には、有機物、塩類、アンモニアや重金属等が含ふくまれており、埋め立てられている廃棄物の種類によっては有害化学物質が含まれる場合もあります。廃棄物埋立地の浸出水は、埋め立地のごみの種類、埋立年数、埋立構造、気象条件によって変化します。
(6)埋立地の施設構造
最終処分場は生活環境の保全上、浸出水の外部流出、地下水汚染、ごみの発散、ガスの発生、衛生害虫獣の発生等を防止しながら、所要量のごみを安全に埋立できるモノでなければなりません。
①貯留構造物
廃棄物最終処分場の貯留構造物は、①廃棄物の貯留、②浸出水の一時貯留等のために築造されます。貯留構造物は、廃棄物を貯留以外の目的を持たせる場合は、構造物が崩壊しないようにする等、十分な配慮をする必要があります。
②遮水設備
浸出水の硫出防止を目的に埋立地の底面、斜面、貯留構造物等に設ける難透水性の層または壁を言います。遮水材料は合成樹脂系、合成ゴム系およびアスファルト系遮水シート、粘性土や透水性を低くした改良土等です。この遮水シートを埋立地の表面全体を覆うように敷設します。
遮水層には遮水層の破損を検知する検知システムが設置されます。
③浸出水排水施設
浸出水集排水施設の目的は浸出水を速やかに浸出水処理施設へ導くことと、集水管を通じて埋立層内へ空気を供給し、有機物の早期安定化を図ることです。
浸出水集排水施設は、埋立地内へ空気を供給し、かつ浸出水を排除するという人間の体に例えると動脈と静脈の双方の働きをする施設であります。
浸出水集排水施設は、集排水管、集水ピットおよび送水から構成されます。
④集水ピット
集水ピットは、浸出水排水管の流末で集められた浸出水をポンプ等によって汲み出すための設備であり、埋立地の中に設ける場合と外に設ける場合があります。浸出水調整設備との相互関係で決めることになります。
➄発生ガス処理施設
埋立地内の廃棄物は微生物等によって腐敗・分解作用を受けてガスが発生します。発生ガスによる作業環境や周辺環境への悪影響を防止するため、発生ガスを廃棄物層から外部へ導き、処理するための施設を発生ガス処理施設と言います。
⑥区画堰堤(区画埋立)
広大な埋立地においては、同種類の廃棄物であっても埋め立て地を区分けして、既埋立区域、埋立中の区画・未埋立区画を明確にして埋立てることによって、埋立地の管理や浸出水の量や質の制御が容易になります。
⑦関連施設
関連施設は最終処分場の業務を計画的・効率的に実施するため、主要施設とともに最終処分場を構成する施設です。
ア)搬入路
廃棄物および覆土材、維持管理上の機材等を運搬する車両が遅帯なく安全に、最終処分場に搬入出するための道路を言います。
イ)飛散防止設備
ごみの飛散防止するために埋立作業区域または最終処分場の周辺に設置する飛散防止網(ネットフェンス)等です。
ウ)立札
当該区域が最終処分場であることを明示します。
エ)門扉
最終処分場の出入口を開閉時に第3者が処分場へ立ち入るのを阻止できる構造ならびに場内の案内及びインタ―フォン設備等で構成されます。
オ)防火設備
埋立廃棄物および各施設等の火災の発生防止、および発生した火災の消火のために必要となる設備、機器および機材を言います。
カ)防災設備
防災設備は、降雨、地震、地滑り等が発生した場合、最終処分場の存在が周辺地域の防災上の支障とならないうにするため、および処分場の機能が損なわれるのを防止するために設ける雨水調整池、土砂崩落・流出防止設備等をいいます。
*雨水調整池
山間等降雨時の流出形態が比較的穏やかな場所に最終処分場を設置する場合には、その流域の降雨直後の流出形態が変化して流出量が増大する場合があります。防災調整池は、放流先河川等が許容できる流量を超える降雨量等が発生した場合に、その流出時間を調整するために設置します。下流域に十分な受入れ能力があれば、必ずしも必要な施設ではありません。
(7)埋立地の種類
日本では、廃棄物は中間処理(破砕・分別(選別)・焼却処理等)した後、資源化できるモノを取り除き、焼却残渣を埋立て処分しています。廃棄物の性質(安定性、安定性)に応じて、以下の3分類の処分場で埋め立て処分されています。
a)管理型処分場
庭から出る廃棄物や焼却灰、産業廃棄物における汚泥や燃え殻、シュレッダーダスト等(いずれも一定以上の有害質を含まないモノ)が対象であります。
地下水汚染や土壌汚染を防止するため、処分場の側面や底面に遮水シート等でおおわれており、廃棄物処分場から発生する浸出廃液を処理する施設を有する処分場です。
b)安定型処分場
がれき・ゴムくず・金属くず・廃プラスチック類・ガラスくず、コンクリートくず及び陶器くずがあります。この5種類の産業廃棄物のことを安定5品目と呼びます。
有害物や有機物の付着がなく、容易に化学変化を起こさない安定型(5品目)産業廃棄物を埋め立て処分できる場所が安定型最終処分場です。
C)遮断型処分場
上記管理型最終処分場の基準を超えるような廃棄物が対象です(有害な物質を含む)。
屋根付きで、内部は間仕切りされたコンクリート壁によって、有害ごみは一切遮断され漏出しない構造になっています。