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No.2 容器包装リサイクル法の論点と展望
 

No.2 容器包装リサイクル法の論点と展望

平成26年3月 第25巻 第2号

目次

巻頭言

持続可能な社会を目指して……中鉢 良治 99 (PDFはこちら

特集 容器包装リサイクル法の論点と課題

容器包装リサイクル法の見直しについて――実現可能性を踏まえた拡大生産者責任の適用を中心として――……大塚  直 101
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市民が求める容器包装リサイクル法のあり方……中井八千代 108
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容器包装の2R推進に向けた小売業の役割と提言……上山 静一 116
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プラスチックの特性と今後のプラスチックリサイクル……熊谷 将吾・吉岡 敏明 124
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効率化と高度化を目指した新たな材料リサイクルの制度化の提言……本田 大作 133
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容器包装の発生抑制に向けて……山川  肇 137
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入門講座 廃棄物資源循環のための理化学基礎講座 4

環境と廃棄物資源循環における酸化還元反応
――半電池反応からpH-O2分圧系までの展開――……渡辺 信久 145
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支部特集/支部だより

支部だより:東北における活動報告 (東北支部)…… 156
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書評

山家公雄 著:再生可能エネルギーの真実……吉岡 敏明 158
不法投棄等の斜面安定性評価研究グループ 著:不法投棄等現場の堆積廃棄物の斜面安定性評価方法……小野 雄策 159

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要旨

容器包装リサイクル法の見直しについて――実現可能性を踏まえた拡大生産者責任の適用を中心として――

大塚  直*

【要 旨】 拡大生産者責任(EPR)を踏まえつつ,容器包装リサイクル法の主要課題に対する対処の方向性を検討した。第1に,発生抑制の強化があげられるが,これについては,主務大臣による判断基準の強化,個々の事業者の再商品化委託料について,ドイツやフランスのように環境負荷の観点を入れた算定をすることが重要である。第2に,ただ乗り事業者対策として,再商品化委託料を支払ったことを示すグリーンドット制度を導入することが重要である。第3に,選別に関して,市町村による分別収集と特定事業者による選別保管の作業が一部重複している問題に対しては,社会的コストの削減のため,両者を一体化しつつこれを特定事業者に行わせることが考えられる。第4に,特定事業者集団からの市町村に対する現行の拠出金制度は構造上持続可能なものではなく,すでに拠出金総額が激減していることから法改正が是非とも必要である。第5に,資源の有効利用,環境負荷低減,社会的コストの低減のため,マテリアルリサイクル向けの資源とケミカルリサイクル向けの資源の区別,選別の技術的高度化,マテリアルリサイクルの残渣をケミカルリサイクルに活用することが必要となる。


キーワード:拡大生産者責任(EPR),再商品化委託料,拠出金,ただ乗り事業者,マテリアルリサイクル

廃棄物資源循環学会誌,Vol.25, No.2, pp.101-107, 2014
原稿受付 2014.2.19

* 早稲田大学大学院法務研究科

連絡先:〒169-0051 東京都新宿区西早稲田1-6-1
早稲田大学大学院法務研究科  大塚 正

市民が求める容器包装リサイクル法のあり方

中 井 八千代*

【要 旨】 容器包装の3Rを進める全国ネットワークは,2006年の容リ法改正から5年後の見直しに向けて活動を再開し,2011年の国会での請願採択を機に,プロジェクトチームをつくり,2012年7月に改正市民案(第一次)をまとめた。全国の3R政策地域研究会からの提言や,EPRをテーマに開催した国際フォーラムからの示唆を受け,2013年4月に改正市民案(第二次)を作成した。EPRの原点に立ち責任分担を見直す,リサイクル優先からリデュース・リユース優先のシステムへ転換することなどが内容である。普通の市民の心理を探るデプスインタビュー調査では,「3R」が浸透定着していないこと,商品選択は経済性で,分別排出の場所は利便性で選んでいることなどがわかった。今年度末にはさらにブラッシュアップを重ね,最終案をまとめる予定である。2013年9月,見直しのための審議会が始まり,EPRの徹底を提案する市民団体・自治体vs.事業者の対立の構造が鮮明となっているが,真摯な議論を期待したい。


キーワード:拡大生産者責任 (EPR),環境配慮設計 (DfE),リデュース・リユース(2R),デプスインタビュー,標準費用

廃棄物資源循環学会誌,Vol.25, No.2, pp.108-115, 2014
原稿受付 2014.2.3

* 容器包装の3Rを進める全国ネットワーク

連絡先:〒102-0082 東京都千代田区一番町9-7 村上ビル6階
容器包装の3Rを進める全国ネットワーク  中井 八千代

容器包装の2R推進に向けた小売業の役割と提言

上 山 静 一*

【要 旨】 小売業は容器包装の環境対策としてレジ袋の有料化による大幅な発生抑制を実施している。また,イオングループ(G)は,加えてレジ袋素材のバイオマス化を実現している。私が参加したステークホルダー会議では望ましい主体間の役割分担の評価軸は「社会的費用の削減効果」と「各主体に対する自己変革促進効果」であると確認された。世界ではコンシューマ・グッズ・フォーラムが「サステナブルなパッケージ設計」のガイドラインを示し,トリプル・ボトムラインの視点で,これからの容器包装のあり方を提唱した。小売業の役割は「内容物の保護」等,容器包装の三大機能を守りながら環境配慮設計を推進し,消費者への情報発信と連携を強化していくことである。英国のWRAPは自治体・企業・消費者と連携し環境配慮設計と軽量化を推進している。日本は連携のあり方について参考にすべきである。最後にアジアでの課題設定と問題解決の必要性とCSVの導入等,3点の提言をする。


キーワード:自己変革促進,トリプル・ボトムライン,環境配慮設計,アジア,CSV

廃棄物資源循環学会誌,Vol.25, No.2, pp.116-123, 2014
原稿受付 2014.1.6

* 流通環境経営研究所 (元 イオンリテール(株))

連絡先:〒362-0042 埼玉県上尾市谷津2-5-23-101
流通環境経営研究所  上山 静一

プラスチックの特性と今後のプラスチックリサイクル

熊 谷 将 吾*,**・吉 岡 敏 明*

【要 旨】 私達の生活を支えるプラスチック製品は,石油化学技術の発展に伴い日に日に便利になり,その性状は多様化し続けている。現行の容器包装リサイクル法 (以下,容リ法) では,手法の優位性 (材料リサイクル>ケミカルリサイクル>エネルギー回収) により落札の優劣が付いているが,今後,物質資源をより効率良く循環するためには,廃プラスチックの性状に応じて適切な手法を選択する必要がある。また,十分な廃プラスチックを確保するために,リサイクル施設から遠く離れた地域の廃プラスチックを落札・搬送しているケースも多く,リサイクルとは関係のない無駄なエネルギーが消費されている。本稿では,まずはじめに,プラスチックの特性,各リサイクル手法の現状,油化を例としたケミカルリサイクルの現状を報告した。その上で,今後のプラスチックリサイクルのあるべき姿として,地域循環型の容リ法システムを提案し,その意義と実現可能性について述べた。


キーワード:プラスチック,資源循環,容器包装リサイクル法,地域循環

廃棄物資源循環学会誌,Vol.25, No.2, pp.124-132, 2014
原稿受付 2014.2.19

* 東北大学大学院環境科学研究科
**日本学術振興会

連絡先:〒980-8579 宮城県仙台市青葉区荒巻字青葉6-6-07
東北大学大学院環境科学研究科  吉岡 敏明

効率化と高度化を目指した新たな材料リサイクルの制度化の提言

本 田 大 作*

【要 旨】 プラスチック製容器包装のリサイクル法の施行から約14年が経過し,今回の法改正にて,資源循環をさらに推進させる観点から,容器包装リサイクル制度を抜本的に見直し,さらに効率化と高度化を目指した材料リサイクルが求められている。効率化と高度化を目指すために,自治体が,プラスチック資源として,容器包装プラスチックと製品プラスチック等を一括回収する制度の創設と,回収されたプラスチック資源を光学選別機等で樹脂別に選別する高度選別施設への委託を自治体の判断により選択し,大臣認定を得られれば,容器包装プラスチックのみ特定事業者の費用負担でリサイクルできる地域コンソーシアム制度の提言を行った。これら新たな材料リサイクル制度の実現により,家庭から排出される貴重なプラスチック資源を有効に活用できるだけでなく,自治体の費用負担低減と高度な材料リサイクルの推進が期待される。


キーワード:容器包装プラスチック,製品プラスチック,高度選別施設

廃棄物資源循環学会誌,Vol.25, No.2, pp.133-136, 2014
原稿受付 2014.1.29

* (株)レノバ

連絡先:〒100-0004 東京都千代田区大手町1-7-2 東京サンケイビル18F
(株)レノバ  本田 大作

容器包装の発生抑制に向けて

山 川   肇*

【要 旨】 家庭系容器包装廃棄物の排出見込み量について,品目別およびプラスチック製容器包装については業種別にその動向を検討し,排出量が2006年改正前の量に戻りつつあること,プラスチック製容器包装については,小売業の大幅な減少にもかかわらず全体として2006年当時の量を超えている可能性もあることを指摘した。そこで生産者の発生抑制の取り組みを推進する施策として,①業種別の発生抑制計画・削減目標の設定と②生産者責任の拡大を取りあげて検討した。①では容器包装多量利用事業者の対象業種の拡大,および容器包装リサイクル法基本方針等への自主行動計画の組み込みと発展を,②では合理化拠出金制度を合理的で効率的な分別収集・選別保管費用の一定部分に基づいて拠出する方式に改正することを,それぞれ提案した。あわせて自治体の分別収集・選別保管費用の測定に関連して,一般廃棄物会計基準制定以降の取組状況を整理した。


キーワード:容器包装リサイクル法,リデュース (発生抑制),排出見込み量,拡大生産者責任 (EPR),一般廃棄物会計基準

廃棄物資源循環学会誌,Vol.25, No.2, pp.137-144, 2014
原稿受付 2014.3.24
* 京都府立大学生命環境学部

連絡先:〒606-8522 京都市左京区下賀茂半木町1-5
京都府立大学生命環境学部 山川 肇

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