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No.4 建設分野における土資源の健全な循環にむけて
 

No.4 建設分野における土資源の健全な循環にむけて

令和5年7月 第34巻 第4号

目次

巻頭言

放射能で汚染された廃棄物の処分と資源循環について想う……米田  稔 229
PDF, 231KB

特集 建設分野における土資源の健全な循環にむけて

土について……勝見  武 231
PDF, 914KB

建設発生土等の有効利用にかかわる現状と課題……金井 仁志 240
PDF, 2.8MB

循環資材の環境安全品質評価方法の動向と課題……肴倉 宏史 248
PDF, 608KB

建設工事における自然由来重金属等含有岩石・土壌への対応マニュアルの改訂……品川 俊介 258
PDF, 819KB

盛土規制法等による建設発生土の扱いに関する規制と今後の展望……髙野  昇 266
PDF, 811KB

建設汚泥のリサイクル活性化に向けた取り組みと課題……野口 真一 278
PDF, 1.4MB

令和5年度廃棄物資源循環学会・春の研究討論会

総括報告…… 285
PDF, 451KB
企画セミナー報告…… 287
PDF, 814KB

会議報告

2023年度春の韓国学会 (KSWM) 共催報告……河井 紘輔・浅利 美鈴 292
PDF, 328KB

環境省・廃棄物資源循環学会共催セミナー報告

環境研究総合推進費SII-6セミナー
水銀に関する水俣条約の有効性を考える ――条約発効5周年を機に――……日下部武敏 294
PDF, 1.1MB

支部特集/支部だより

支部だより:北海道支部「第33回研究発表会・見学会」開催報告…… 299
PDF, 375KB

書評

カーボン・アルマナック・ネットワーク,セス・ゴーディン 編,平田仁子 日本語版監修:THE CARBON ALMANAC (カーボン・アルマナック) 気候変動パーフェクト・ガイド 世界40カ国300人以上が作り上げた資料集……釜田 陽介 301
(一社) 日本エネルギー学会 編:廃プラスチックの現在と未来 持続可能な社会におけるプラスチック資源循環……小野 義広 302
(一社) 農業食料工学会生物資源部会 編:農業・食料生産分野におけるバイオマス利用工学――循環型社会のための生物資源利用――……中崎 清彦 303
増木優衣 著:ヴァールミーキはどこへ行けばよいのか――現代インドの清掃人カースト差別と公衆衛生の民族誌……古澤 康夫 304
PDF, 312KB

要旨

土について

勝 見   武*

【要 旨】 掘削・切土・盛土・土地造成等で大量に土を扱う建設分野では,土がもたらす環境被害が致命的なものとならないよう,土の適正な利用についてさまざまな取り組みがなされてきた。しかしながら,土のもつ多様性などの特性によりさらなる利用の余地があり,科学的知見の蓄積や技術開発,そして社会制度への反映が求められるところでもある。そこで本稿では,発生土の処理と利用の現状を概観した上で,近年の重要なトピックとして土壌汚染,自然由来の重金属等,建設汚泥,廃棄物混じり土などを対象に,対応のための技術と制度について述べる。


キーワード:発生土,土壌汚染,自然由来の重金属等,建設汚泥,廃棄物混じり土

廃棄物資源循環学会誌,Vol.34, No.4, pp.231-239, 2023
原稿受付 2023.6.12

* 京都大学大学院 地球環境学堂

連絡先:〒606-8501 京都市左京区吉田本町
京都大学大学院 地球環境学堂  勝見 武

建設発生土等の有効利用にかかわる現状と課題

金 井 仁 志*

【要 旨】 建設発生土の不適正処理等が課題となっている。2021 (令和3) 年度に発生した熱海の土石流災害のように,人命・財産に大きな被害をもたらす災害も発生している。不適切に処理された建設発生土は,有効利用されなかった建設発生土の一部であると類推され,建設発生土の一層の有効利用を図ることにより,有効利用されない建設発生土の減少,ひいては不適切処理事案の減少につながるものと考えられる。これまで国土交通省では建設発生土情報交換システムの活用等建設発生土の有効利用を促す取り組みを進めてきたが,盛土規制法等の法令整備を受け,今後ますます建設発生土の有効利用等が求められることから,国土交通省としても,発注段階からの適切な費用計上や指定利用等の促進等の取り組みを通じて,工事の受発注者の取り組みを今後とも力強く推進・支援することとしており,各関係者は,積極的に建設発生土の有効利用等の取り組みを進めていただきたい。


キーワード:建設発生土,建設汚泥,建設発生土情報交換システム,盛土規制法,有効利用

廃棄物資源循環学会誌,Vol.34, No.4, pp.240-247, 2023
原稿受付 2023.6.19

* 国土交通省 総合政策局 公共事業企画調整課

連絡先:〒100-8918 東京都千代田区霞が関2-1-3
国土交通省 総合政策局 公共事業企画調整課 金井 仁志

循環資材の環境安全品質評価方法の動向と課題

肴 倉 宏 史*

【要 旨】 建設分野は,大量に生じる循環資材の活用という,極めて重要な役割を担っている。循環資材には有害物質を微量ながらも含むものがあるため,環境安全品質の評価が必要である。循環資材の環境安全品質評価法に関する取り組みは,土壌の溶出試験を準用していた時代から,土ではない資材の評価法の切り分け,利用有姿による評価法の制定,環境安全品質評価法の基本的な考え方の整理,各循環資材の規格やガイドラインの制定や改正へと,着実に進められてきた。近年は,より合理的な評価方法や管理方法の確立が必要となっている。


キーワード:土石類,環境基準,溶出試験,品質規格,ガイドライン

廃棄物資源循環学会誌,Vol.34, No.4, pp.248-257, 2023
原稿受付 2023.6.5

* (国研) 国立環境研究所 資源循環領域

連絡先:〒305-8506 茨城県つくば市小野川16-2
(国研) 国立環境研究所 資源循環領域  肴倉 宏史

建設工事における自然由来重金属等含有岩石・土壌への対応マニュアルの改訂

品 川 俊 介*

【要 旨】 岩石・土壌は,天然の状態で少量の重金属等を含むことがある。トンネルや切土等の建設工事から大量に発生する岩石・土壌 (発生土) は,従前より有効な資源として盛土や埋土に利用されている。一方,2003年に土壌汚染対策法が施行されたことを一つの契機として,自然由来の重金属等を含む発生土に関する環境安全性評価と必要な対策が社会的に求められるようになった。本稿では,わが国の公共建設工事における自然由来重金属等を含む発生土の取り扱いに関する課題を述べる。また,国土交通省が公表した「建設工事における自然由来重金属等含有岩石・土壌への対応マニュアル (2023年版)」の内容を紹介し,課題に関する今後の展望を論ずる。


キーワード:自然由来重金属等,発生土,酸性土,土壌汚染対策法,残土条例

廃棄物資源循環学会誌,Vol.34, No.4, pp.258-265, 2023
原稿受付 2023.6.14

* (国研) 土木研究所 地質・地盤研究グループ 地質チーム

連絡先:〒305-8516 茨城県つくば市南原1-6
(国研) 土木研究所 地質・地盤研究グループ 地質チーム  品川 俊介

盛土規制法等による建設発生土の扱いに関する規制と今後の展望

髙 野   昇*

【要 旨】 汚染された土壌や廃棄物混じり土による埋め立て・盛土,盛土の崩落災害等建設発生土の不適正処理については,関東地域等これら問題が顕在化している自治体の土砂条例により対応してきたが,2021 (令和3) 年7月静岡県熱海市の大規模土石流災害を契機として制定された新たな法令により,2023 (令和5) 年5月26日より全国一律の基準で対応することになった。本稿では,新たな法令の規制内容を整理し,自治体条例が今後どのように対応することになるかなどについて私見を述べる。


キーワード:建設発生土,盛土規制法,資源有効利用促進法,土砂条例

廃棄物資源循環学会誌,Vol.34, No.4, pp.266-277, 2023
原稿受付 2023.6.5

* (一財) 先端建設技術センター 企画部

連絡先:〒112-0012 東京都文京区大塚2-15-6 オーク音羽ビル
(一財) 先端建設技術センター 企画部  髙野 昇

建設汚泥のリサイクル活性化に向けた取り組みと課題

野 口 真 一*

【要 旨】 建設汚泥の利活用において,いまだ不適正な泥土リサイクルが散見される。その主な理由は,建設発生土との線引きが曖昧で廃棄物としての扱いが軽視されることや,製品の品質確保に十分配慮したリサイクル設計が実施されていないことがあげられる。すなわち,建設汚泥をリサイクルする場合,廃棄物・リサイクルガバナンスに基づいた取り組みと再現化手法の厳格化ならびにコストの適正な評価を行うことが必須条件であり,建設汚泥のリサイクル計画の立案および実施をするためには,該当する法令の吟味ならび環境基準を含めた適用用途基準の設定と,これらを十分考慮した処理技術の選定,さらには施工・品質管理方法等を検討する知識が求められる。本稿ではこれらを鑑みた建設汚泥のリサイクル活性化に向けた取り組みと課題について紹介する。


キーワード:建設汚泥リサイクル,建設汚泥処理土,現場内利用,工事間利用,再生利用方法

廃棄物資源循環学会誌,Vol.34, No.4, pp.278-284, 2023
原稿受付 2023.5.11

* (一社) 泥土リサイクル協会

連絡先:〒492-8266 愛知県稲沢市稲島法成寺町東狭間7番地1 グランコート国府宮203
(一社) 泥土リサイクル協会  野口 真一

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